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特集

IT'S SO FREE(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年06月05日 11:00

更新: 2008年06月05日 17:45

ソース: 『bounce』 299号(2008/5/25)

文/bounce編集部

イメージを制限されない感じ

――いきなりですが、なぜインスト・バンドを結成するに至ったのでしょう?

サイトウジュン(YOUR SONG IS GOOD)「もとはインストじゃなかったんですが、いろいろ試した結果なんです。もっとおもしろいバンドになるためにはどうすればいいか、っていう選択肢のひとつがインストだった感じ。バンドがおもしろければ別に歌がなくてもいいじゃないかと」

kono(te)「僕の場合はteの前に、シューゲイザー、アヴァンギャルドなノイズ・バンドをやってて。それをもっと聴きやすい、メジャー感のあるものにしようと。フガジやスリントあたりのUSインディーが好きだったんですが、日本でUSインディーとかポスト・ロックが盛り上がってなかったんで、僕らがそういう匂いのするインストを日本でやったらおもしろいかなぁと。わかりやすく言うと〈歌のないフガジのような匂いの音楽〉をめざしてました」

サイトウ「まさに初期のYOUR SONG IS GOODがやろうとしてたことだ(笑)。それはSPECIAL OTHERSにも言えるけど、僕らがやろうと思ってできなかったことが、2人ともできてるな~(笑)」

芹澤優真(SPECIAL OTHERS)「僕らはバンド自体13年くらいやってて、最初はメロコアをやったりしてたんです。で、18~19歳の時にギャラクティックとかメデスキー・マーティン&ウッドとかのジャム・バンドに出会ったんですね。そこからジャズを知っていったりとか。99年の〈フジロック〉で観たフィッシュは凄く良かったですね。イメージを強制されない感じ。例えばパンク・バンドだったらみんなで拳を振りかざしてそこについていく感じに違和感を覚えることもあったけど、フィッシュのライヴでは、自由に絵を思い描けるっていうか、自分だけの感覚で楽しめたのがデカい。もちろんそう言いつつ、拳を振りかざすライヴも大好きなんですけどね」

――ところで、歌がないだけにプレイヤーとしてのやり甲斐は感じますか?

サイトウ「ウチのバンドの場合はプレイヤーとしてというよりアイデア重視なんですけど、やっぱり楽器で語らなきゃいけないんで、プレイヤー的な部分は絶対に必要だなと思わされるとこはあるんですよね」

kono「歌に合わせるって制限がないからどこまでもいけちゃう。だからアイデア勝負っていうのはホントそうですよね。そこにやり甲斐があるんじゃないですかね」

――とはいえ、ユアソンとスペアザは歌モノの曲もあるわけですが、歌あり/歌なしの線引きはどこに?

サイトウ「インストも歌も分けて考えないで同じように楽しめばいいと思ってるんで、実はあんまり大した線引きはないんですよ」

芹澤「歌った時に良かったら入れる。最初は歌モノなのか何なのかまったくわからないものから始まってますね、ウチは」

サイトウ「芹澤くんも僕ももともとヴォーカリストだった人間が楽器を持ったから、歌が必要なら自分で歌えばいいや、みたいなユルい感じかもね」

大石 始「ヴォーカルがいたら全部歌入りの曲になっちゃうかもしれないけど、ヴォーカリストが楽器を持つなら必ずしもそうしなくて良くて、より表現の幅が広がると」

――ところで、日本のバンドは共通してメロディーを引き立ててますよね?

芹澤「黒人にとってのソウル・ミュージックが俺らはJ-Popだったから、それが自然と身体から滲み出るのは当然のこと。自分で音楽やってるとTVから流れてたJ-Popが自然に出てくるっていうか、それを隠そうとしても、どうしても抗えない」

大石「それは大きいのかもね。黒人が持ってるビート感とかグルーヴ感が、日本人だとJ-Popのメロディー感に当てはまる部分もあるんだろうし」

芹澤「そこを認識して、逆らわない。J-Popっぽいメロディーがインスト・バンドにとってデッドラインの場合が多いけど(笑)、ギリギリちょっとを超える、そのせめぎ合いがおもしろい。それを意識したのがアンティバラスとかアフロビート・バンドのメロディーが完全に“与作”だと思ったことがあって、それは彼らが何のしがらみもないからそのメロディーを乗っけてるわけで、それって凄いカッコイイですよね。それに近い感覚かも。ヘンな意識をなくしたいっていうか」

大石「フェラ・クティも、歌がなくてもサックスのパートを鼻歌で歌えるし、それが結構歌謡曲っぽかったりする」

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