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THE FUTURE IS BEGINNING ALWAYS HERE

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年05月22日 10:00

更新: 2008年05月22日 17:24

ソース: 『bounce』 298号(2008/4/25)

文/青木 正之、山西 絵美

この街はいつでも〈新しい音〉に包まれている

 ブリストルの歴史を一気に振り返ってみて、同地の音楽シーンがいかに芳醇であるかを改めて思い知った方も多いのではないだろうか。確かにその軌跡はあまりにも輝かしい。しかし、だからといってブリストルは過去の栄光にしがみついているわけではない。シーンはいまなお拡大し続けているのだ。マーク・スチュアート然り、ポーティスヘッド然り、地元を支えてきた面々が素晴らしい新作を届けてくれたことからもわかるように、レジェンドたちはさらに先へと歩を進め、一方で新しい才能も次々に登場。そこで本特集の締め括りに、現在の〈ブリストル・サウンド〉を紹介したいと思う。かの地から生まれた名盤の数々がそうであったように、ここで挙げている作品はどれも未来のスタンダードとなり得るものばかり。そう、この街から〈新しい音〉が消えることはないのである。
(山西絵美)


DYNAMITE MC
『World Of Dynamite』
 Strong(2004)
レプラゼントの斬り込み隊長が放った初のアルバムは、ヒップホップ、ガラージ、ドラムンベースとBPMの異なる多彩なトラックを乗りこなし、熱いMCをかます激情盤。複数のプロデューサーを起用しているなか、やはりロニ・サイズがサポートした2曲がもっともしっくりくる。
(青木)

ILYA
『They Died For Beauty』
 Virgin(2004)
誤解を恐れずに言うと、ポーティスヘッドの音をロック・バンド編成で表現したような3人組のデビュー作。ビョーク風味の女性ヴォーカルとヴァイオリンの音色が全編に荘厳な雰囲気をプラスし、オペラでも観ているかのような錯覚に陥るほどスケールの大きな仕上がりだ。
(山西)

GOLDFRAPP
『Felt Mountain』
 Mute(2000)
キーボードのウィル・グレゴリーがブリストル出身というだけでなく、ヴォーカルのアリソンがトリッキーの初作に参加していたり、ポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーが全アルバムに関与していたり……と実はブリストルと密接な彼ら。初期のややディープな感じはそのせい?
(青木)

KOSHEEN
『Damage』
 Moksha/Arista UK(2002)
ドラムンベースからロック的な方向へと見事に転換したコシーン。スタイルは変われど、重厚なブレイクビーツやメランコリックなメロディー、そして作品全体を支配するハイブリッド感からは同地らしさが滲み出ている。トリップ・ホップを想起させる曲もあり、味わい深い一枚だ!
(青木)


THE THIRD EYE FOUNDATION
『Little Lost Soul』
 Domino(2000)
フライング・ソーサー・アタックのマット・エリオットによるソロ・プロジェクト。シーケンスで作られたリズムとノイズの波状攻撃で聴き手の不安感を煽る危険なドラムンベース盤だが、本名名義ではギターを抱えてカントリーに挑むなど、いまだ全貌は謎に包まれたまま。
(山西)

VARIOUS ARTISTS
『Nite:Life 013:Jamie Anderson』
 NRK(2002)
〈ブリストル=ダブ〉でないことは、同ハウス・レーベルひとつをとってもあきらか。そのNRKが誇る人気ミックスCDシリーズから、ここでは地元発のテック・ハウスDJ盤をチョイス。カジミアらシカゴ産がお好みのようで、アシッド感バリバリの意外な内容が楽しすぎ!
(山西)

GRAVENHURST
『Flashlight Season』
 Warp(2003)
FSAに憧れてロンドンからブリストルに移住したというグレイヴンハーストことニック・タルボット。陰鬱なメロディーと歪んだギターの織り成す幻想的な音像が、とことんダウナーな空気を創出している本作。それはまるで、FSAに宛てたラヴレターのようにも聴こえないだろうか。
(山西)


BOCA 45
『Pitchsounds』
 Grand Central(2004)
ダイナモ・プロダクションズでの活動や、大のサッカー好きとしても知られるスコット・ヘンディが本名義(もちろんボカ・ジュニアーズから拝借!)で放った初作は、ジャズ、ファンク、ソウル愛を凝縮させた豪快なハットトリック盤。タミー・ペインらご当地シンガーの起用も良し!
(山西)

CRESCENT
『By The Road And Field』
 Fat Cat(2003)
FSAやムーヴィータウンらと縁の深いメンツが集い、93年に結成されたエレクトロニカ・ユニット。手作りの楽器や抑揚のない歌声によってノスタルジックなムードを紡いでみせた本作は、ズバリ〈田舎町〉がコンセプト。ほのぼのとした同地の音響シーンが窺い知れる仕上がりだ。
(山西)

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