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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年05月15日 11:00

更新: 2008年05月15日 18:05

ソース: 『bounce』 298号(2008/4/25)

文/青木 正之

円で繋がっているみたいだよな

 そんなフットワークの軽さは好奇心旺盛だからこそなせる業だと思うのだが、新作にも至るところで彼のそうした姿勢が発揮されている。例えば、「俺はPファンクを聴いて育ったんだ。つまりソウル・ボーイなんだよ!!」と興奮気味に話してくれたように“Secret Suburbia”ではPファンクばりの熱いファンク・グルーヴを生み出し、「奇抜でエド・バンガーのセバスチャンの曲みたいなエディットがあるんだ。こういう曲を作るのは俺にとってかなりアウトローな動きではあったな」と語る“Freak Circus”ではニューレイヴ勢も真っ青のブリブリでアッパーなトラックを披露、「ちょっと変わった形のポップス」の“Loner”ではメロディアスな歌声を聴かせ……といった具合に、自身の活動を総括しつつも新しい要素も貪欲に吸収している様が窺える。本作を聴いていると、彼のサウンドが昨今のダブ・ステップやニューレイヴとリンクしていることに気付かされるのだが、〈カリスマ〉が現行シーンの動きに興味なんて……と思ったけど実は細々とチェックしているご様子。

「最近気に入っているのは、セバスチャンの音とかブーティー・ベースとかレゲトンとか。俺はいま話題になっているフランスのアーティストたちに影響を与えたとよく言われている。俺はパンク・ファンクを作ったけど、いくつかの場所ではニューレイヴを〈パンク・ファンク〉と呼んでいるようだよ。ポップ・グループとギャング・オブ・フォーがパンク・ファンクを発明したのさ。ダブ・ステップについては、ブリアルやコード9が80年代の俺やエイドリアン・シャーウッドの作品を参考にしているらしい。UKのグライム・シーンのアーティストはON-U周辺と俺の初期作品をすごく気に入っている。円で繋がっているみたいだよな」。

 さてジプシーのDNAを受け継いでいるせいか、放浪してみたり、新しい世代との交流もお盛んなマークだが、気になるブリストルとの繋がりはどうなっているのだろうか。多彩な才能を輩出し続ける同地の〈円〉の中心にマークがいてくれると、それだけで何か起こりそうな気配がしてワクワクさせられるのだが。

「ブリストルの雰囲気はすごくクリエイティヴだし、みんなが良いムードを作っているよ。ポーティスへッドの新作は素晴らしい出来だったし、それにマッシヴ・アタックのもうすぐ出るアルバムも最高の出来になったと思う。あと、トリッキーも新作を控えていると聞いたよ。ブリストルにいるみんながみんな良いムードに包まれてるんだ。グラフィティー・シーンも盛んで、バンクシー、インキー、ニック・ウォーカーが盛り上げてくれてるね」。

 マッシヴとはいっしょに作業もしているらしく、つまり今後も大いにマーク・スチュアートと、そしてブリストル・シーンに期待していて良さそうだ。
▼マーク・スチュアートの作品を紹介。


バンド~ソロ名義の楽曲を集めたアンソロジー『Kiss The Future:Anthology Of Mark Stewart, The Maffia, The Pop Group』(Soul Jazz)

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