AGAINST ALL ODDS マライア自身が語る待望のニュー・アルバム『E=MC2』!!
「前作に続いて解放感を満喫する私を反映しているの。いわば〈Emancipation=Mariah Carey×2〉って感じね」とマライアみずから語るニュー・アルバム『E=MC2』。表題はもちろんアインシュタインによる〈質量とエネルギーの等価性〉のモジりだが、彼女の表現意欲はまさにその定理さながら。トリッキー・ステュワート&ドリームによる先行ヒット“Touch My Body”のプロモ・クリップでは、ジャック・マクブレイヤー演じるPCオタクの妄想という設定にかこつけて、スリムになった肢体を自慢気に晒していた。
「私のパーソナリティーをたっぷり表現した曲よ。確かにセクシーな内容も含むけど、この曲にあるユーモアが好きなの。プロモ・クリップでは私もジャックの妄想の一部になるのよ。ユーモアの要素を加えるのは大好き。ビデオなんだから、シリアスに捉える必要なんかないでしょ?」。
毎度のことながら解放されすぎな気もするが……それでこそマライアだ。アルバムでは、別格的に素晴らしい“Last Kiss”や、「〈得るものはなかったけど、ありがとう〉って、皮肉を込めているのよ。わかるでしょ?」と過去の恋愛を示唆する“Thanx For Nothin'”など、同志のジャーメイン・デュプリ&ジョンテイ・オースティンが前作以上に確かな仕事ぶりを見せている。T・ペインを迎えたデンジャ作の“Migrate”、マイケル・ジャクソン曲をスムースに引用したスターゲイト製の“I'm That Chick”、ヤング・ジーズィとトラップ・ビーツに相乗りする“Side Effects”なども最高に刺激的だ。そんななか、次のシングルには穏やかなスロウ“Bye Bye”が選ばれている。「こういう曲はとてつもなく生々しい場所から生まれてくるから、書きながら涙を流してしまうこともあるの。でも、そういう曲こそ大勢の人の心に触れるに違いないし、何が起ころうと進むべき道を見失わずに曲を書き続け、必要としている人々に音楽を届ける努力を怠らないことが私には重要なのよ」──彼女がそう語る“Bye Bye”は、最期に和解して亡くなった父親に捧げたものだという。彼女の喜びと哀しみから生まれた結晶をじっくり聴き込んでほしい。
▼『E=MC2』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
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