こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

B-52's みんな、私たちのこと知ってる?

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年04月10日 11:00

更新: 2008年04月10日 17:54

ソース: 『bounce』 297号(2008/3/25)

文/妹沢 奈美


  16年ぶりのニュー・アルバム『Funplex』が話題になっているB-52's。本作の日本盤ではCSSによる表題曲のリミックスが追加収録されているのだが、USでリリースされたリミックスEPには他にもピーチズやシザー・シスターズがリミキサーとして名を連ねている。また、タイニー・マスターズ・オブ・トゥデイが『Bang Bang Boom Cake』でフレッド・シュナイダー(ヴォーカル)をゲストに招き、2メニーDJ'sをはじめとする著名DJがB-52'sの曲をミックスCDで取り上げて……と、ミュージシャンたちがこぞってリスペクトを注ぐのがこの4人組だ。

 物凄く簡単に説明するなら、B-52'sこそがUSのポスト・パンク/ニューウェイヴ時代をトーキング・ヘッズやディーヴォと共に牽引した、いわば偉大な三羽烏のうちの一羽。もっとも、他の2バンドにはマニアックなファンが多いためか濃厚に語り継がれているのに比べると、B-52'sの場合は少し色合いが違う気もする。男女混合のメンバーは50年代のコスチュームを身に纏い、ことケイト&シンディの女子ふたりはその名の元となったB-52爆撃機の機首を思わせるキッチュなヘアスタイルをするなど、見るからに妖しくてポップ。加えてサウンドは、ガレージ・パンクもポップもニューウェイヴも呑み込んだファニーでアッパーなパーティ・チューン。真面目かつシリアスに捉えられるというより、スリリングな棘を持つポップでキュートなバンドとして受け止められていた。

 もともと高校時代から友人同士だったメンバーが、ジョージア州アセンズでバンドを結成したのは76年のこと。その後、NYに活動の拠点を移し、CBGBなどでライヴをしていたところをアイランドのクリス・ブラックウェルに見い出され、彼のプロデュースしたアルバム『The B-52's』で79年にデビューを飾った。ちなみにクリス・ブラックウェルといえば、かのボブ・マーリーを手掛けた人。個人的には、B-52'sが音楽ファンにちゃんと注目され続けたのにはプロデューサーが著名人だったことも大きかったのでは、という気も。何しろ他にも2作目『Wild Planet』はロキシー・ミュージック『Avalon』で知られるレット・デイヴィスが、82年のEP『Mesopotamia』はデヴィッド・バーンがプロデュースを担当しているのだから。それはさておき、83年の3作目『Whammy!』ではドラムマシーンなどを使ってよりエレクトリックな路線にシフト。しかし、85年にソングライティングの要であったリッキー・ウィルソンがエイズで亡くなるという悲劇が襲い、86年作『Bouncing Off The Satellites』を発表した後、2年ほど活動を休止することとなる。

 とはいえ皮肉なことに、再始動後のアルバム『Cosmic Thing』は、セールス400万枚を超え、全米チャート3位という大成功を収めることに。“Love Shack”や“Deadbeat Club”などシングルも軒並みヒットを記録するのだが、そんな折にシンディがバンドを脱退。92年作『Good Stuff』発表後は94年に映画「フリントストーン~モダン石器時代~」のテーマソングをBC-52'sという変名で提供する以外、バンドとしての新作リリースは途絶えていた。ちなみにケイトは99年にここ日本でNina(YUKIや佐久間正英らが参加したバンド)のメンバーとして活動したこともあるほか、イギー・ポップや同郷のREMの作品にも顔を覗かせている。

 キッチュな存在感も含めて多くの人から愛されてきたB-52's。ポップでダンサブルなロック・バンドが人気を集めるこの時代だからこそ、新作を機に改めて注目しておきたい。

              
▼B-52'sの作品を紹介。

インタビュー