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特集

Lenny Kravitz

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2008年03月19日 12:00

更新: 2008年03月19日 16:52

ソース: 『bounce』 296号(2008/2/25)

文/村上 ひさし


  本名レナード・アルバート・クラヴィッツ。64年5月26日生まれの現在43歳。70年代に活躍した女優でバハマ系アメリカ人のロキシー・ローカーと、NBCのニュース番組でプロデューサーとして腕を振るっていたロシア系ユダヤ人の父親との間に誕生。だが、ここで重要なのは彼が黒人と白人のハーフということよりも、音楽的/芸術的に恵まれた環境で育ってきたことのほうだろう。ユダヤ系が多く住むマンハッタンのアッパー・ウェストサイドで育ったレニーは、母親が出演していたオン/オフ・ブロードウェイの劇場に幼い頃から頻繁に連れられていったそうだし、ジャズのプロモーターでもあった父親の知り合いには、デューク・エリントンやマイルス・デイヴィス、カウント・ベイシー、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルドといった大物ジャズ・ミュージシャンらが多数いたという。当然のように、レニーはモータウンやスタックスといったソウル・ミュージックの洗礼を受け、ジェイムズ・ブラウンやアル・グリーン、スティーヴィー・ワンダー、カーティス・メイフィールドなどを聴いて大きくなっていく。5歳の頃からミュージシャンになりたいという将来の夢を抱き、ドラムやギターを次々とマスター。ちなみに初めて観たコンサートは、NYのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたジャクソン5のライヴだったらしい――と、ここまでを辿っただけでも、普通の家庭では想像もつかないほどの豊かな音楽的バックグラウンドが見えてくる。レニー少年が音楽の道を志すようになったのは、両親からの影響も強いようだ。

 母親がTVドラマ「The Jeffersons」シリーズにレギュラー出演するようになると、10代初めにLAへ移住。そこでカリフォルニア少年合唱団に3年間在籍したと同時に、ロックにも目覚めていく。レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリックス、キッス、エアロスミスといったクラシック・ロックに加えて、プリンスやボブ・マーリーなどなど、幼少の頃から慣れ親しんできたジャズやソウル、オペラやクラシックといった音楽とはまた違う、粗削りでパッショネイトなサウンドの魅力に取り憑かれていくのである。セレブの子女が多く通っていることで有名なビバリーヒルズ高校では、音楽科を専攻。ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュとは同じクラスで机を並べていた。いわゆる苦労を重ねてロックをはじめた輩とは違っている。サラブレッドとして音楽界への道が拓かれていた彼は、あらかじめロックスターとしての成功を約束されていたのかもしれない……というのは、いささか大袈裟すぎる表現だろうか。しかし、デビュー当時からすでにロックスター然とした態度を身に付けていたレニーを思うにつけ、ロックスターになるべくして生まれたと本人も信じていたのでは?という気がしてならないのだ。

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