YOU ARE ALL WE NEED TO GET BY 耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
JAY-Z
『Reasonable Doubt』 Roc-A-Fella(1996)
NYのキングに即位するにはクイーンが必要だ!と思ったのか、本作収録の“Can't Knock The Hustle”ではストリート感満点の合体を実現。その後も客演したり、〈Unplugged〉に招いたり、ブルック・リン(メアリーのMC名)のリリックを書いたり……甲斐甲斐しく女王を世話する様子はキングというより家来?
(出嶌)
U2
『Achtung Baby』 Island(1991)
ロン・フェアの仕込みで、U2の“One”を彼ら自身と共にカヴァーしたことのあるメアリー。企画色の濃い大物コラボではあるが、そこに込められたメッセージを解釈して我流で突進する姿は近年のヴァーサタイルな女王スタイルに先鞭を付けた。
(出嶌)
NINA SIMONE
『I Put A Spell On You』 Verve(1965)
ニーナの自伝映画で主演する話も持ち上がっているメアリーは、『The Breakthrough』収録曲“About You”でニーナの“Feeling Good”をネタ使いして擬似共演。時空を超えたレディー・ソウル共演という以上に、ともに〈痛み〉を歌の原動力にしてタフに振る舞ってきたという点で通じる部分があるのだ。
(林)
BOOTY LUV
『Boogie 2 Nite』 Hed Kandi(2007)
アッパーなハード・ハウス中心のダンス・リミックス盤『Dance For Me』を発表するなど、大バコ系の文脈でも大人気のメアリー。ヨーロッパの状況もそれに近いらしく、ビッグ・ブラヴァズの女子2名によるこのデュオは“Be Without You”をカヴァーしている。ハウス界での人気を証明する一例として。
(出嶌)
STEVIE WONDER
『In Square Circle』 Motown(1985)
異端扱いされていた頃から積極的にソウル古典の血肉化に挑んできたメアリーだが、なかでも好んで取り上げてきた印象があるのはスティーヴィーの曲だ。特に、当初日本でのみ音盤化された“Overjoyed”における懐の深さは、彼女の正統派としての力量を窺わせるに十分だった。
(出嶌)
May J.
『Baby Girl』 NeOSITE/キューン(2007)
初めて名前を見た時に〈おや?〉と思ったのは私だけでしょうか。シェリル・リン“Got To Be Real”のネタで登場してきたという強引な共通点もありますが……フレッシュなMC陣と自然に歌声を絡ませる姿は女王さながらだし、それは彼女自身もめざすところでしょう。
(出嶌)