J-POP
女性シンガー・ソングライターが躍進!
ポップと言ってもさまざまだが、2007年に特筆すべきは女性シンガー・ソングライターの活躍だ。寺尾紗穂などオーセンティックなサウンドを聴かせるシンガーのほか、グディングス・リナやAYUSE KOZUE、小山絵里奈ら作詞/作曲に加えてトラックメイクなどもみずから行う新しい意味合いでの自作自演アーティストが増え、クォリティーの高い作品が充実。また、UAや中納良恵といったヴェテラン勢の動きにも見逃せないものがあった。
(ヤング)
曽我部恵一 『ラブ シティ』 ROSE
剥き出しモードでひたすらリリースを続けた2007年の曽我部。メロウな曲が多いことから、本作とサニーデイ・サービス時代を重ねる人も多かったけれど、ここにあるのは90年代当時よりもずっと生々しい表現だ。2007年の東京に響いたソウル・ミュージックの真骨頂。
(ヤング)
Sotte Bosse 『moment』 ユニバーサル
2007年に起こった〈カヴァー・ブーム〉のきっかけと言って間違いない、彼らの大ブレイク。この3作目もオリジナル曲を含めつつ、日本が誇る名曲をボサノヴァやジャズ風味にアレンジした見事な〈オシャレ芸〉を披露した。幾多のフォロワーの数歩先を行くそのセンスに2008年も期待。
(ヤング)
一十三十一 『Girlfriend』 徳間ジャパン
ASA-CHANGが全面プロデュースした、マジカル・ミステリー・アルバム。シティー・ポップ~エレクトロニカ~民族音楽をサラッと自己解釈してアウトプットする彼女のストレンジっぷり&多芸っぷりにはワクワクさせられっぱなし。そりゃ世の女の子も憧れますわ。
(ヤング)
Jill-Decoy association 『ジルデコ』 ポニーキャニオン
ジャズやファンク、ソウルをベースにした、上質なクロスオーヴァー・ポップ・ユニットのデビュー作。ジャンルを混ぜること自体に物珍しさを感じなくなったこの時代、テクニックと歌唱力を武器にして、ポップスに真っ向勝負を挑んだ姿は〈潔い〉の一言。
(ヤング)
紗希 『GREEN』 Palm Beach
たおやかなメロディーのなかに鋭い棘を潜ませる、弱冠23歳のデビュー作。感情の揺れに共鳴するピアノと儚くも気丈な歌を軸に紡がれるロック・サウンドは、聴き手の心に微かな爪痕を残す。赤裸々な愛の詩をエレガントなタッチで描き出す、激情型女性シンガーのニュー・スタイルを見せた。
(土田)
寺尾紗穂 『御身 onmi』 ミディクリエイティブ
70年代ポップスへの郷愁を感じさせる作品をよく耳にする昨今だが、彼女のデビュー作は郷愁ではない。生まれながらに身体にインプットされていた上質ポップスのエッセンスを、自身が気持ちの良いように形にした、実に正統派のポップス。このピュアな真っ当さが清々しかった。
(小林)
YoLeYoLe 『ひかり』 Tuff Beats
アコギ&マンドリンを携えて、2007年は多くの野外フェスで人々を癒した3人組。フォーク~レゲエ~ブルーグラス~民族音楽がゆったりと交錯する、まさにいまのポップス・シーンを象徴する複合サウンドは、自然に囲まれて聴くに相応しい、有機的な光合成ミュージックだ。
(土田)
YOUR SONG IS GOOD 『HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! HOT!』 KAKUBARHYTHM/NAYUTAWAVE
理屈っぽいオヤジも泣かせるパーティー・バンドだった彼らも、いまやロック・キッズまで虜にする日本一のお祭りバンドに成長! 無軌道さと暑苦しさがどんどん増強し、ついに快楽だらけの桃源郷を作り上げた。
(ヤング)
オレスカバンド 『WAO!!』 TERRY DOLLAR RECORD$
bounceでは毎月その活動をお伝えしている大阪のガールズ・スカ・バンド。ロック色が増し、より男前な音が印象的な本作は、2007年に〈SXSW〉へ参戦、今年はハリウッド映画に主演、という飛ぶ鳥を落としまくる勢いそのまま。いったいどこまでビッグになるんだよ!
(ヤング)
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