HOUSE/TECHNO
スタンダードとなったクリック
〈乙女ハウス〉のブレイクによるハウスの一般化、ヴェテランの奮起など各方面にトピックは多かったが、なかでも大きかったのは、2006年から続くクリック・ハウスの流れがシーン全体へと波及したことだ。プログレッシヴ・ハウスとの邂逅、DJプレイのデータ移行とリンクするヴェテラン勢の参入、ネオ・バレアリックの潮流、ジャズ要素の導入など、その動きも実に多様だった。そんな状況を受けて、あえて言おう。クリックとは、いまや〈テクノ〉そのものなのである。
(石田)
CLAUDE VONSTROKE 『Beware Of The Bird』 Dirtybird
“Deep Throat”や“The Whistler”などのヒット曲を収録した待望のアルバム。大人気のダブサイデッド勢にも引けを取らないバウンシーなファンキー・サウンドは、まさに〈いまが旬!〉な仕上がりだった。これで踊らずして何で踊る!?
(石井)
THE FIELD 『From Here We Go Sublime』 Kompakt
10周年を迎えていつも以上に注目を集めたコンパクト作品のなかで、特に人気だったのがこのアルバムではないだろうか? 幻想的なフレーズを武器に作り出される世界観は、テクノ界だけでなくハウス界にも飛び火!! 2007年にもっとも評価された新人のひとりでもあった。
(石井)
KARIZMA 『A Mind Of It's Own』 R2
USハウス界の王道を築いてきたクリエイターによるフル・アルバムで、結果的にハウスの枠を越えて支持を集めた名作。黒くて太い魅惑のビートから派生していく、本当の意味でのクロスオーヴァーなサウンドは、ヴェテランながらフレッシュでカッコ良すぎ!
(池田)
BEAT PHARMACY 『Steadfast』 Deep Space Media/Wave
フランソワ・ケヴォーキアンのお墨付きユニットによる3作目で、サラリと流れながらもズブリとハメてくれる癒し系のエレクトロニック・ダブは、後続の追随を許さない斬れ味。ダブを注入したクラブ・ミュージックの成熟ぶりが窺える一枚でもあった。
(池田)
SUMMER OF SPACE 『Summer Of Space』 Quiet City
海外産の〈乙女ハウス〉といったら、2007年はこのアルバムが代表格だろう。カスケイドのプロデュースによる涼やかなディープ・ハウスに、シーン随一の透明度を誇るヘイリー・ギビーの儚げな歌声が見事にマッチ! チルアウト風味の仕上がりも心地良かった。
(池田)
BJORN TORSKE 『Feil Knapp』 Smalltown Supersound
リンドストロム&プリンス・トーマスらの活躍で注目を浴びてきた北欧ハウス・シーンのパイオニアがついに送り出したアルバムは、キラメキと少々のユーモアで味付けしたディープ・テック・ハウス作品に。BOREDOMSのEYEとも繋がる老舗の重要レーベルから。
(石田)
GUY GERBER 『Late Bloomers』 Cocoon
いまやシーンの水先案内人と言えるスヴェン・ヴァスのレーベルから登場した、イスラエル発のエスニック・クリック風味なエレクトロ・ハウス大作! 前年のネイサン・フェイクやジェイムス・ホールデンに続いて、プログレッシヴ・ハウスのプログレッシヴさを証明した格好だ。
(石田)
FALSE 『2007』 M_nus
特大キラー・チューンの“Mouth To Mouth”を放ったオーディオン、クリック発ニューウェイヴ・ポップな『Asa Breed』を出したマシュー・ディア……といろんな名前でクリックに貢献する天才が、満を持してマイナス帝国からリリースした話題作。匠の手による業務用クリックとなっていた。
(石田)
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