R&B(2)
DONNIE 『The Daily News』 Soulthought
70年代ニュー・ソウルを真摯に継承する男が、素晴らしかった前作と同じ制作スタッフや演奏陣らと共にふたたびグルーヴを紡いだ傑作。コンシャスなメッセージ性も含め、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハサウェイといった先人たちの領域にまた一歩近づく好内容だった。
(池谷)
LLOYD 『Street Love』 The Inc./Universal
インクの若きプリンスがショー・ナフのサポートも受けて完成させた2作目は、リル・ウェインとのメロウ・バウンス“Get It Shawty”をはじめとする秀曲揃いの一枚に。そのスウィートなナヨ声が各方面から重宝され、質量共に凄まじい客演を繰り広げていたことも特筆しておきたい。
(池谷)
JOE 『Ain't Nothin' Like Me』 Jive
華やかなプロデューサー陣を迎えたヴェテランの6作目。スターゲイトやティム&ボブなど、2007年らしいR&Bマナーを体現する面々のサウンドを巧みに採り入れつつも、シルキーな歌声を流麗なピアノに乗せた“My Love”などでは、ジョーならではのバラディアーぶりが誇示されていた。
(池谷)
NE-YO 『Because Of You』 Def Jam
前年のデビュー時に自身が巻き起こしたムーヴメントである、R&Bにおける〈メロディーの復権〉がいまだ衰えを見せないなか、彼が作り出すメロディアスな旋律の普遍化はさらに推進。マイケル・ジャクソンそっくりの表題曲を筆頭に、世界基準のポップスとして支持を得るに至った。
(池谷)
BOBBY VALENTINO 『Special Occasion』 DTP/Def Jam
ティム&ボブ産サウンドとの蜜月を見せたデビュー盤のムードを引き継ぎつつ、ティンバランドやロドニー・ジャーキンスらも迎えた快作。やるせなくとろけるソウルフルな歌声で統一された世界観は、“Slow Down”の呪縛から完全に解き放たれていた。
(池谷)
TANK 『Sex Love & Pain』 Blackground/Universal
裏方仕事が目立っていたタンクが5年ぶりにシンガー復帰。練り込まれたメロディーとディープな歌い込みから生まれるむせ返るようなブラックネスは、ソングライターとシンガーの両方を高次元で並立させる実力の程を改めて示すものだった。TGTのアルバムはまだか?
(池谷)
MUTYA BUENA 『Real Girl』 Island
雑多でキャッチーで痛快なUKアーバン・ポップ盤となった元シュガベイブスの人気者によるソロ作で、レニー・クラヴィッツ使いの表題曲がヒット。この年活躍が目立ったサラーム・レミが制作し、エイミー・ワインハウスが参加した“B-Boy Baby”はなかでも秀逸だった。
(池谷)
PRINCE 『Planet Earth』 NPG/Columbia
前作から約1年という短いスパンで登場した殿下のアルバム。思わせぶりで壮大な表題とは裏腹に、良い意味でサクッと作った感のある手堅くポップな出来となり、いまも最前線にいる天才の中間報告といった感じか。UKでの無料配布も世間を騒がせた。
(池谷)