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特集

耳で聴いたピープル・トゥリー(2)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2008年01月10日 10:00

更新: 2008年01月10日 17:28

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/北爪 啓之、出嶌 孝次、冨田 明宏、山西 絵美

9 VARIOUS ARTISTS
『Sci-Fi-Lo-Fi Compiled By Andrew Weatherall』
 Soma(2007)
パンク時代からT・レックスが好きだったという地下世界のダンディー、アンディ・ウェザオール。ますますルーツ志向を強める彼がコンパイルしたこのロックンロール帰行盤は、ジーン・ヴィンセントやジョニー・バーネットらとT・レックスを並列に配し、自身のみならずボランのルーツまで系統立てたチョイスが最高だ。
(出嶌)

10 UNICORN
『服部』
 ソニー(1989)
手島いさむの提案で69年作『Unicorn』からバンド名を拝借した彼ら。なるほど、キャッチーな楽曲とルックスの良さでアイドル的な人気を獲得しながらも、常にシニカルさを隠し持っていたあたりはT・レックスとも共通している(強引すぎ?)。加えて時折表れるメタリックなギターからも、ボラン汁が滴っているよね!
(山西)

11 SWITCHES
『Heart Tuned To D.E.A.D.』
 Atlantic UK(2007)
〈ボラン・ブギー〉はいまやロックのスタンダードであり、実にさまざまなバンドが模倣しているが、それにしたってT・レックス的なコーラス・ワークやファッションまでを踏襲したヤツらは彼らくらいか!? しかしながら、サウンドはきっちりと現代風のダンサブルなものにアップデートしているあたりがニクイ。
(冨田)

12 PRINCE AND THE REVOLUTION
『Around The World In A Day』
 Paisley Park/Warner Bros.(1985)
ボランと入れ替わるように現れたグラム・スラムなグルーヴァー。ジミヘン系ギターや両性具有的な歌声などの記号めいた共通項以上に、含有する音楽の原材料が同じなんじゃないか。嬌声に守られた本作収録の“Paisley Park”や後年のブギー・バップ“Cream”には、ボランの生きなかった未来が見える、かもね。
(出嶌)

13 DEVENDRA BANHART
『Smokey Rolls Down Thunder Canyon』
 XL(2007)
デヴェ独特の揺らぎを湛えた歌唱もマーク・ボランを彷彿とさせる瞬間があるが、〈フリー・フォーク〉という呼称で語られる彼のユニークな音楽性は、サイケかつフラワーかつマジカルなアシッド・フォークを奏でていたティラノザウルス・レックスの今日的解釈ともいえる。続けて聴いても違和感ナシ。
(北爪)

14 VARIOUS ARTISTS
『Phil's Spectre:A Wall Of Soundalikes』
 Ace
フィル・スペクター率いるテディ・ベアーズのヒット曲“To Know Him Is To Love Him”を、リリックを変えてカヴァーしていたT・レックス。ひらめき型のボランは完璧主義者の名プロデューサーが作るサウンドメイクに一時期憧れていたようで、それは『Unicorn』で聴けるエコー感にも如実に表れている。
(山西)

15 沢田研二
『ROYAL STRAIGHT FLUSH 3』
 ユニバーサル
日本のグラム・ロッカーといえば、ヴィヴィッドなスター性を発揮したジュリーが思い浮かぶ。〈電飾の武者〉と化した“TOKIO”でグラムな詞を書いた糸井重里には、T・レックスの来日記念ぬりえコンテストで入選した過去もあった。なお、アイドル特有の体重との戦いもボランに通じる……ってのは余計なお世話か。
(出嶌)

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