6年ぶり……とは思えない!!
時代を巻き込んでいくような往年の勢いこそないとはいえ、ウータン・クランという名前がノスタルジックに響かないのは、メンバー個々の活躍が相変わらず盛んなせいだろう。特に華々しいのはデフ・ジャムに在籍するゴーストフェイス(・キラー)で、移籍作の『The Pretty Toney Album』を皮切りに、2006年には『Fishscale』と『More Fish』の2枚を発表し、今回もウータンの新作と同時期に『The Big Doe Rehab』をリリースしたばかり。並行して自身のクルー=セオドア・ユニットを率いる絶倫ぶりは驚異的だ。同じデフ・ジャム系のメソッド・マンも、2004年の『Tical 0: The Prequel』、2006年の『4:21...The Day After』とコンスタントにアルバムを放ち、『Crystal Method』なる新作も間近に控えている模様。彼も自身のクルーから弟分のストリートライフをデビューさせている。一方、2002年以来ソロ作のないGZAは時流と折り合いを付けかねているようで、近年はDJマグスとのコラボ作で気を吐いていた。レイクォンもソロはご無沙汰だが、現在はアフターマスからの新作を制作中で、合間にはアイス・ウォーター軍団の作品もあった。
以上のキャラ立ち4人衆に対し、以下の3人はやや地味かも。インスペクター・デックやマスター・キラーはインディー・ベースでウー周辺作をメインに活動を続けているし、U・ゴッドはRZAと揉めていた時期にウー仲間不在のソロ作を残していたのが目立つぐらい。まあ、インディー基盤になるとクラン構成員よりも〈二軍〉扱いな連中の作品のほうが俄然おもしろく、キラー・プリーストやフリーマーダー、シルヴァリングズらの作品はいずれも一聴の価値アリだ。そして、一軍作でも二軍作でも腕を振るうのが、総帥のRZAである。これまたソロ作はしばらく出ていない一方で、「キル・ビル」「AFRO SAMURAI」のサントラなど映画~映像関連の仕事が目立っている。全部聴いてたら6年なんてすぐだったよ。
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