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Duran Duran


  ニュー・ロマンティックス(略してニューロマ)という言葉を、現在の音楽評論においてほとんど目にする機会がないのはなぜなのだろう。あきらかにこれはニューロマの系譜では?と思える若手バンドさえも、ゴスかニューウェイヴの文脈でのみ語られている場合が多々あったりする。そしてそのあたりに見るニューロマ排除主義(というと大袈裟か、いやそうでもあるまい)が、いまだデュラン・デュランに付きまとう間違った認識に繋がるのではないだろうか。

 誤解を怖れずに言うなれば、実際に筆者にとってもデュラン・デュランというバンドはずっと〈ふうん〉ぐらいの存在であった。ゆえにキャーキャー言いながら彼らの再来日公演を心待ちにしていたお姉さま方のような、熱狂的なファンではない。しかし同時に、このバンドほど男前のせいで損をし、受けて然るべき評価を与えられずしてここまできたのでは?と不憫に思えるアーティストもあまりいない。

 そう、バンドのおよそ30年間に渡る歩みは、その〈ただの男前〉レッテルを実力ではがそうとしてきた挑戦と野望の歴史でもあるのだ。加えて、このたびのニュー・アルバム『Red Carpet Massacre』で目に見えるカタチで表れたメンバーの音楽に対する〈おもしろがりっぷり〉は、彼らの過去の作品に手を伸ばし、そしてその音源の数々がいまなおこちらも〈おもしろがれる〉内容だと改めて気付かせるのに、必要十分なほどのパワーを持っている。つまり、好奇心の勝利ということだ。

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2007年12月20日 12:00

更新: 2007年12月27日 17:54

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/妹沢 奈美

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