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特集

ガールズ・ポップスが止まらない!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年11月29日 15:00

更新: 2007年11月29日 17:42

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/編集部

山西絵美「最初に一言いいですか? 私、女性アイドル・ポップスに対して下世話でチャラい音楽だと思ってました」

出嶌孝次「まあ……実際に下世話なもんですよ。オリヴィア・ニュートンジョンにしろマドンナにしろ」

山西「90年代前半ってそのへんの〈いわゆるアイドルです!〉みたいな人って減りましたよね?」

出嶌「アイドルの解釈が幅広くなったというか……USに限って言うと、グランジ~オルタナ以降の90年代は暗い時代だったから、ナイン・インチ・ネイルズとか悩みの多そうなアーティストをアイドル視する人が増えたんだろうね。そう呼ばれてたかどうかは別にして。そうなると、絵に描いたようなポップスターの明るさに世間は共感しなくなるわな」

山西「ボーイズ・バンドの話ですが、イン・シンクもバックストリート・ボーイズも最初はヨーロッパでブレイクしたんですよね!? USでは市場が狭まったのに、ヨーロッパでは90年代もアイドル人気が高かったんですか?」

出嶌「そのへんは日本で定着している〈アイドル〉のイメージを取り払わないと理解できんわね。幅広い世代の人から支持される人が〈アイドル〉なんだし。で、ヨーロッパ、特にUKの人は、ビートルズとかの昔から黒人音楽が好きじゃない? だからポップスのなかに自然に黒さが埋め込まれているという歴史があって、例えば想像だけどテイク・ザットもボビー・ブラウンも並列で聴いて、音で判断してる人が多かったというか。そう考えると、バックスが先にUKでブレイクした理由も見えるかもね。ちなみにクリスティーナ・アギレラも最初はヨーロッパで人気が出たのよ」

山西「じゃあ、USは出遅れてたんですね」

出嶌「でもUSもだんだんポップなヒップホップが出てきたりして、2000年を迎える前あたりから受け皿ができてきて」

山西「で、2001年にブリトニーの『Britney』が出て……」

出嶌「流れが変わったね! 当初は〈ブラック・ミュージックに寄りすぎちゃうの?〉っていう声もあったそうだけど。でも、アイドル性を保ちながら最先端のビートに乗っていくっていうブリトニーの成功例があったからこそ、アイドル音楽の質も、その見られ方も変わっていけたのよね」

山西「その風潮にトドメを刺したのがグウェン・ステファニー! 彼女に続けとばかりに昨年はカッコイイお姐さんたちが大暴れしましたよね。もしかするとグウェンはロック、ファーギーはR&Bみたいな区分けを勝手に作ってる人もいるかもしれませんが、方向性は近いな、と」

出嶌「ヒップホップが一般化してきたらラップを採り入れるとか、カントリー風を装うとか、他の音楽の旬を引っ張ってくる部分は昔から多くて。そういう意味ではアイドル・ポップスって、常に〈いま〉の音を反映してるんだよね」

山西「最先端の音楽をイイトコ取りだなんて、最高!!」

出嶌「そういう下世話さがおもしろいのよね~」

山西「この機会にそういう耳で、2007年に生まれた女性アイドル作品を聴いてみます」

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