ARE YOU READY FOR DANCE? ブラック・ミュージックとエルトン・ジョンがダンスフロアで恋に落ちたら……
エルトンと黒人音楽の親和性の高さはさほど重要視されていないが、ブルーソロジー時代にメイジャー・ランスらのバックを務めてきた彼だからして、バーニーとの名コンビを解消した直後に当時最先端の黒人音楽だったフィリー・ソウルに目を向けたのも偶然じゃないだろう。77年にフィリーを訪れたエルトンは、デルフォニックスやスタイリスティックスを手掛けた名プロデューサーのトム・ベルとレコーディングを敢行している。そこからは“Are You Ready For Love”などが79年にEP化されるもヒットには至らず。旧友のピート・ベロッティ(ジョルジオ・モロダーの相棒)制作によるディスコ・アルバム『Victim Of Love』も同年リリースだが、フロアを意識した軽快なミュンヘン・サウンドは酷評され、結果的にこれらの取り組みはエルトン史上最悪の〈迷走〉と片付けられてきた。が、そんな迷走の産物も21世紀に脚光を浴びる。2004年にノーマン・クック(ファットボーイ・スリム)の主宰するサザン・フライドから“Are You Ready For Love”がリイシューされるや、フリーフォーム・ファイヴやマイロのリミックスも相まってクラブ・アンセム化。ついには全英1位に輝く特大ヒットとなったのだ! 当時ヘロヘロだった本人は覚えてないっぽいけど……。
▼エルトン・ジョンのソウル~ディスコ作品を紹介。
編集盤『The Complete Thom Bell Sessions』(MCA)
▼“Are You Ready For Love”を収めたミックスCD。