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特集

THE SOUND OF BLACKNESS(2)

TANK
『Sex Love & Pain』
 Blackground/Universal(2007)
筋肉を曝け出すジャケと直球な表題に惹かれるが、それだけではない。雄々しく張り上げた歌声が映える濃密なスロウ/ミディアムで統一された内容には、単なるマチズモを超えた逞しくもスウィートなブラックネスが漲る。その甘さと表裏一体のエロさを味わうのもまた一興。
(池谷)

ROI ANTHONY
『The Prelude The True Soul Experience』
 Mo-Hitz(2007)
10年前のインディー盤が支持され続ける兄弟グループ、レ・ジットのリード・シンガーが今度はソロで吠えた。オールド・ソウルのエキスを吸い込みながら今様にバウンスしてみせ、故郷ルイジアナにも思いを馳せる。真のソウル体験をさせてくれるアルバム……って、まだEPか。
(林)

DONELL JONES
『The Best Of Donell Jones』
 LaFace/Jive/BMG JAPAN 
10年のキャリアを誇る名シンガーのベスト・アルバム。“U Know What's Up”のようなスムース・ダンサーや煌びやかなミディアム・グルーヴの魅力ももちろん素晴らしいが、アコギを爪弾きながら歌い込むような、自作曲でのシックな振る舞いからも彼のソウル感は溢れ出てくる。
(池谷)

LEDISI
『Lost & Found』
 Verve Forecast(2007)
インディー・ソウルの奥深さを知らしめたデビュー作『Soulsinger』から7年、同作の新装リリースやジャズ作などを間に挿んで登場した久々の新作。レックス・ライダウトらの職人を後ろ盾に、ジャズとファンクを濃密なフィーリングで繋いだドス黒い歌唱を閃かせる様子はメジャーでも不変。大傑作!
(出嶌)

ANGIE STONE
『The Art Of Love & War』
 Stax/Concord/ユニバーサル(2007)
新生スタックスに移籍しての新作は、アコースティックな感触を持つ陽性ソウルが際立って光る好内容に。ハスキーで柔らかな歌声からディープな塩辛歌唱、ナチュラルな包容力溢れる歌い口まで、ソウル・シンガーとしてのヴァーサタイル性を見せ付けられる。
(池谷)

JOE
『Ain't Nothin' Like Me』
 Jive(2007)
狂おしいラヴ・バラードで世の女性をKOする能力は、そのままR&Bシンガーとしての実力と魅力に繋がると言っていい。その達人であるジョーの6作目は、今様R&Bサウンドを巧みに採り入れつつも、シルキーな歌声を流麗なピアノに乗せて届ける“My Love”などでバラディアーぶりを誇示した快作だ。
(池谷)

BEVERLEY KNIGHT
『Music City Soul』
 Parlophone(2007)
UKアーバン界の旗手であるビヴァリーの最新作。ここではキャンディ・ステイトンの復活作を手掛けたマ-ク・ネヴァースをプロデューサーに迎えてナッシュヴィル録音を敢行しており、英国からの米サザン・ソウルへの憧憬を表す内容になった。バック・トゥ・ルーツなサウンドが滋味深い。
(池谷)

CARL THOMAS
『So Much Better』
 Umbrella(2007)
バッド・ボーイから華々しくデビューしてきた実力派シンガーの復活作。インディー発ながら、より歌そのものにフォーカスした作りはかつての姿以上に真摯に響いてくる。この黒い円熟味に対して派手な装飾が必要なのか、マイク・シティやジャム&ルイスら職人連中もよくわかっていたようだ。
(出嶌)

KEITE YOUNG
『The Rise And Fall Of Keite Young』
 Hidden Beach(2007)
カーク・フランクリンとの共演歴もあるヒドゥン・ビーチの新鋭。スティーヴ・ハーヴェイが制作したエンダンビとの共演曲も含め、スライ~プリンス流ファンクにテキサス人らしいブルース・マナーを添えて黒汁を滴らせるこの男のソウルには、遠慮など一切ない。
(林)

GORDON CHAMBERS
『Love Stories』
 Dome(2007)
ソングライターとして90年代から数々の名曲を書き下ろしてきたゴードンの作る曲は、どれもメロディアスで心を締め付ける。その真摯な姿勢を損なうことなく奏功させたこのインディーからの最新作には、本人が語るところの〈大人の愛に溺れたような曲〉である、美しく成熟したR&Bが詰まっている。
(池谷)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年11月15日 12:00

更新: 2007年11月15日 17:00

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/池谷 昌之、出嶌 孝次、林 剛

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