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特集

THE SOUND OF BLACKNESS

R&Bの真髄を堪能できる必携盤たち

FANTASIA
『Fantasia』
 J(2006)
「アメリカン・アイドル」は単なる通過点で、それ以前からバリノ・ファミリーでゴスペルを歌い倒していた彼女こそが〈激女〉だろう。これがソロでのセカンド・アルバムで、“Hood Boy”における血管が張り裂けそうな猛唱はイトコのK-Ci譲り。ダイアン・ウォーレン曲さえも真っ黒に染め上げる。
(林)

R. KELLY
『Double Up』
 Jive(2007)
みずから流麗なシンギング・ラップを多用しつつ、数多くのMCを迎えることでヒップホップ寄りの作品にも思えるが、ヴォーカリゼーションがどうあれ太くて黒くて熱いマッシヴな歌い口の色艶はまさに〈キング・オブ・R&B〉だ。彼が〈同格〉と認めるアッシャーとキーシャ・コールの客演にも注目したい。
(出嶌)

WHY DID I GET MARRIED?
『Soundtrack』
 Atlantic(2007)
劇作家のタイラー・ペリーが送り出す最新映画のサントラは、これまたソウル~ゴスペルに根差した歌自慢のR&Bアクトが多数登場(既発曲含む)。キース・スウェットとキーシャ・コールの共演を筆頭に、ケリー・プライスやタミカ(エクスケイプ)らの濃厚歌唱を味わいたい。
(林)

BOBBY VALENTINO
『Special Occasion』
 Disturbing Tha Peace/Def Jam(2007)
力任せのシャウトとは対を成す、甘いナヨ声と蕩けそうにメロウな楽曲との蜜月がもたらす繊細な情熱こそ彼の真骨頂。ティンバランドやロドニー・ジャーキンスもその持ち味に相応しいドリーミーな楽曲を提供している。やるせなさに崩れ落ちる快感もR&Bの真髄だ。
(池谷)

EDDIE LEVERT SR. & GERALD LEVERT
『Something To Talk About』
 Atlantic(2007)
遺作『In My Songs』が年頭に発表されたジェラルドと、父親のエディ(オージェイズ)によるデュエット盤。まだ若々しさを漲らせた親父と円熟したオヤジ声で歌う息子がバリトンを重ね、アダルトな情熱を飛び散らせる姿はひたすらに濃密で恐ろしくソウルフル。これが本当にラストなの?
(出嶌)

CHRISETTE MICHELE
『I Am』
 Def Jam/ユニバーサル(2007)
ジェイ・Zやナズと絡んだというヒップホップな出自が、オールド・ジャズへの回帰を単なる懐古に終わらせていない秀作。ウィル・アイ・アムらに制作を仰ごうが、サウンドメイキング云々よりも本人の歌が圧倒的に響く様は、エロかわいいだけのシンガーによるそれとは一線を画す。
(林)

SHAREEFA
『Point Of No Return』
 Disturbing Tha Peace/Def Jam(2006)
キーシャ・コールにも劣らぬ力強さの泣き節全開で吐き出される、自身の経験を元にしたディープな歌詞とソウルフルな楽曲。メアリーJ・ブライジの後継者と目されるひとりだが、情念の炎を燃やすような“Need A Boss”のようなストーリーは彼女にしか語れない。
(池谷)

LIL' MO
『Pain & Paper』
 Honey Child/Drakeweb(2007)
アルバムのお蔵入りを乗り越えて、新たに自主で制作された3作目。ミッシーっぽいスタンスの人だけにヒップホップとの距離感も魅力ながら、ここではオーセンティックなシンガーとしての開花ぶりに聴き惚れたい。シャーリー・マードックの不倫名曲カヴァー“Husband”も凄いわ。
(出嶌)

COOP DEVILLE
『Truth, Lies, And Relations』
 Coop Deville(2007)
90年代から活動しているテキサス・ボーイたちがデュオとして再出発。ジョデシィ~ブラックストリート的な90'sマナーはいまやインディーならではといった感じだが、ストロングなノドでワナワナ吠えまくるこの熱唱ソウルには、時代がどうあれ興奮させられるものだ。
(林)

LLOYD
『Street Love』
 The Inc./Universal(2007)
ガキ相手のお遊戯(失礼)はN・トゥーン時代にさっさと済ませて、ジ・インクから真っ黒なインクをブチ撒いたロイドのソロ2作目。マイケル・ジャクソンへの憧憬もセレブ目線からではなく路上目線でソウルフルに打ち出すあたりが痛快な、濃い口のR&B盤だ。
(林)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年11月15日 12:00

更新: 2007年11月15日 17:00

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/池谷 昌之、出嶌 孝次、林 剛

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