またも充実作を届けてくれたラサーン・パターソン
ブランディらのソングライターとして名を馳せた後、表舞台に飛び出してメジャーのMCAから90年代後半に2枚の名作アルバムをリリース。その後はレーベル消滅に伴って若干のインターヴァルを置き、3年前にインディーで発表した『After Hours』にて復活を果たしたラサーン・パターソン。スライ・ストーンやプリンスらに通じる中性的なヴォーカルと、US西海岸で活動してきた人らしい生音を活かしたファンクネス、そしてスティーヴィー・ワンダーを思わせるメロディーメイクの才を発揮してきた彼が、4作目にあたる待望のニュー・アルバム『Wines & Spirits』を発表した。で、前作の『After Hours』はMCA時代の音源をベースにしたものだったから、今回は本当に久々の純然たる新曲集ということになるわけだ。
彼のようなニュー・クラシック・ソウル~ネオ・ソウル系アーティストは、ともすれば雰囲気重視のまったりしたサウンド志向に陥りがち(それはそれで悪くないが)だが、ラサーンの場合は明快なメロディーを輪郭のくっきりした歌声で聴かせてくれるのが嬉しい。今回はスライへのオマージュなども交えつつ、往年のトニ・トニ・トニあたりを思わせるしなやかな作風を披露。最近はマイクリン・ロデリックをプロデュースしたり、下掲のレディシ作品でデュエットしたり……ふたたび本気モードに入った才人に期待だ!
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