JUST LIKE QUEEN(2)
リアルで生々しい歌世界
そもそもキーシャが〈ポスト・メアリーJ・ブライジ〉と呼ばれるようになったのは、2005年のファースト・アルバム『The Way It Is』の素晴らしい仕上がりゆえだった。そこから最初にヒットしたカニエ・ウェスト制作の“I Changed My Mind”が、実際にメアリーの影響で詞を書くようになったキーシャの信条をリアルに表明したのだ。
「あの曲は女性が自分の目標に集中して進んでいくという内容よ。達成したい夢があって、それを邪魔しようとする自分勝手なボーイフレンドとどうやって関係を保つか……女の子たちには、男なんかのために夢や目標を捨てないでって言いたいわね」。
同性からの支持が高いキーシャの基本的な恋愛哲学は、アルバムから最大のヒットとなったオールド・スクールなバラード“Love”にも顕著だ。そこでは自分のアプローチした男が別の女といるところに出くわした時の実体験が描かれていた。
「〈真剣な恋愛は求めてない〉って自分に言ったばかりのヤツが女とレストランにいるところを見たの。この女のどこがイイの?って感じだったわ。マジでアイツ何考えてたのかしら。それを曲にしたら、自然に言葉が溢れてきたわ」。
そのように生意気でセクシャルで不機嫌で可憐な歌世界の魅力はもちろん、力強くも繊細な表現に長けたソウルフルなヴォーカルは多方面から注目され、キーシャは客演でも引っ張りだことなっていく。なかでも、サントラ『Step Up』が初出となるショーン・ポールの“(When You Gonna)Give It Up To Me”と、P・ディディの“Last Night”はいずれもシングル・ヒットを記録し、彼女の株を大いに上げた。そして、R・ケリーやキース・スウェットらとの共演も経て登場したのが、今回の『Just Like You』なのだ。
▼キーシャ・コールの参加した作品。
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