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特集

NEXT DOOR TO HEAVY ROCK

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年11月08日 18:00

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/粟野 竜二

 60年代後半、ロック・シーンが多様化していくなかで他ジャンルの要素を採り入れ、従来の表現方法から脱却しようとしたプログレッシヴ・ロック、いわゆる〈プログレ〉なるムーヴメントが勃発した。あれから40年、90年代以降にメインストリームへと進出したラウド・ロックを出発点としながら、プログレ的なアプローチを見せるバンドが猛威を振るっていることをご存知だろうか? 長尺の曲を演奏するハードコア・バンドやジャズのコード進行を採用したメタル・バンドなど、多種多様なサウンドが巷を震撼させているのだ。

このページではそれらを〈プログレッシヴ・ヘヴィー・ロック〉と名付け、その実態を解析したいと思う。そこでまず最初に、便宜上彼らを出身シーン別に3つのタイプで区分けすることにした。タイプAはハードコア、タイプBはメタル、タイプCはエモ……といった具合なのだが、何より興味深いのは、それぞれ畑は異なるものの各シーンの異端児たちが奏でる音に共通点が多く見受けられることである。特に顕著なのが、〈頭ではなく身体に強烈に訴えかける轟音〉を鳴らしているという点だ。複雑で高度な音楽理論を実践しているバンドも、それ自体を目的として自己満足に陥ることなく、むしろひとつの手段としてリスナーの肉体的な衝動を喚起する。ちなみに、ここではあくまでも〈便宜上〉タイプ別にバンドを紹介しているが、実のところエモもメタルもハードコアも、はたまたスクリーモもポップ・パンクも、いまやジャンルではなくひとつの要素でしかなくなりつつある。極限まで細分化されたラウド・ロック・シーンはその垣根を取り払い、今後ふたたびひとつの大きなうねりとなる可能性が高いのだ。そういった意味でもここで紹介している 〈プログレッシヴ・ヘヴィー・ロック・バンド〉は、シーンの未来を切り拓く連中である!と断言することができるだろう。

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