こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年10月04日 12:00

更新: 2007年10月04日 16:26

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/宮原 亜矢

美しき〈ラヴ・メタル〉の世界へようこそ!


  〈世界の美麗男性シンガー10傑〉なんてものがあれば選出必至! 類い稀な美貌を持つヴォーカリスト、ヴィレ・ヴァロが率いるHIMは97年に『The Great Love Songs Vol.666』でデビューして以来、世の女性の視線を独占してきた。その人気はUKの〈Kerrang!〉誌が2005年に行った企画〈もっともセクシーなスター50人〉でも堂々の5位にランクインするほどで、ヨーロッパを中心にUSでもカリスマ的な人気を誇っている。もともとアイアン・メイデンのファン同士が集まって結成したというHIMは、後に自分たちのサウンドを〈ラヴ・メタル〉と名乗るようになった。

「スレイヤー好きもいれば、チャイコフスキー好きもいて、メンバーそれぞれ音楽の趣味は違う。誰ひとり妥協することのない音作りをめざすと、結果的にロックでもなければ、メタルでもない、まさに〈ラヴ・メタル〉としか形容できないものが生まれるのさ!」(ヴィレ・ヴァロ:以下同)。

 しかしながら、ブラック・サバスやタイプO・ネガティヴ、マイ・ダイイング・ブライドの大ファンだと公言している彼らは、ゴシック・メタルに分類される機会が多い。〈ラヴ・メタル〉はそんな状況に嫌気がさして生まれた言葉であるが、彼ら自身のことを何よりも的確に表現しているような気がする。その〈ラヴ・メタル・サウンド〉の中核を担うのが、ヴィレの甘くて深いヴォーカルだ。彼はフランク・シナトラやエルヴィス・プレスリー、さらに地元のフォーク歌手から影響を受けたと語る。

「幼い頃から親しんできた地元の音楽と、USをはじめとする違う国の音楽、俺はその両方をバランス良くブレンドしているのさ。だから世界的にブレイクしたからといってフィンランド人としての誇りは失っていないよ」。

  さて、日本デビューを飾った前作『Dark Light』(2005年)はメイン・ソングライターのヴィレが婚約中だったこともり、幸福感をそのまま詰め込んだような内容だったが、このたびのニュー・アルバム『Venus Doom』はいつになくダークな仕上がりだ。それは婚約破棄や親友の自殺など、ヴィレを襲った辛い出来事に深く起因しているのだろう。

「今回のアルバムでは過去の亡霊を心から追いやって、ロマンスの死骸を排除して、何か新しく美しいことを受け入れようとすることについて歌っているんだ」。

 これまでシンプルでストレートな構成の曲が多かった彼らにとっては異例の、10分間にも及ぶ長尺曲がある一方で、バンド史上最短の1分10秒の曲も装備。さらに、悲しい思いに追い討ちをかけるようなボトムの太いバンド・サウンドが、従来の艶やかさと親しみやすいメロディーにワイルドな魅力を加えていて、最高傑作と呼びたくなる聴き応えだ。つまりは、フィニッシュ・メタルの入門盤にはうってつけの素晴らしい一枚ということです!

▼HIMの作品を紹介。

インタビュー