APOCALYPTICA(2)
アティテュードとエネルギー
さて、いまやフィンランドを代表するバンドとなった彼らに、同地の音楽シーンについて訊いてみた。
「フィンランドは国土面積はデカイけど人が少ないんだ。だから音楽シーンは本当に狭くて、みんなお互いのことを知っているんだよ(笑)。それと、フィンランドのインターナショナル・バンドはほとんどがメタルだね。アモルフィスやストラトヴァリスを聴いて育ったキッズが、自分たちもやりたいと思ってバンドを始めるのさ。ローディは人気がありすぎるくらいだし、ナイトウィッシュの新作もきっとトリプル・プラチナ・アルバムになるだろう」。
数多くのバンドが存在し、〈メタル大国〉とも言われているフィンランドだが、彼はそんな自国の現状に危機感を抱いているという。
「いまのフィンランドはメタル人気が高すぎるかもしれない。主流にはなっているけど、その反面ちょっとアティテュードが失われてきているような気もする。僕が初めてメタルを聴いた80年代や90年代は、メタルがアナーキーな音楽だと思われていた。パンクのようにね。メタリカやスレイヤー、セパルトゥラなどアティテュードとエネルギーのあるバンドばかりだった。いまのバンドにはそれがない。めざしている方向に楽して進めるようになったから、怠惰になっているのかな。でもそんなのメタル・バンドのあるべき姿じゃないよ。安易にメタルのファッションや様式だけをマネするのではなく、その精神もきちんと受け継いでほしい」。
過去の事例を見てもわかるとおり、あるジャンルの音楽がメインストリームになると、ビジネスに利用され、濫造し、消費されてしまう。だが、エイッカのこの発言は〈自分たちは決してそうはならない〉という確固たる自信に裏付けられたものだとも取れるだろう。〈メタル本来のアティテュードとエネルギー〉を兼ね備えながら唯一無二のサウンドを鳴らすアポカリプティカが、『Worlds Collide』を機にさらなる飛躍を見せることは間違いない。
▼『Worlds Collide』 に参加したアーティストの作品を紹介。
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