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THAT'S ENTERTAINMENT

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年09月27日 11:00

更新: 2007年09月27日 14:25

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/高橋 芳朗

50セントとカニエ・ウェストの闘い……勝敗を超えたその真意とは?


  さしずめモハメド・アリとジョー・フレイザーの一騎打ち……いわゆる〈Fight Of The Century〉のヒップホップ・ヴァージョンといったところだろうか。共に幾度かの延期を経て、結果的に全米でのリリース日が同じ9月11日に設定された、50セントの『Curtis』とカニエ・ウェストの『Graduation』。この2007年きってのビッグ・タイトルのセールス対決をめぐって、いまUSのポップ・ミュージック・シーンが大変な騒ぎになっている。米「Rollingstone」誌は最新の9月号で今回の一件をカヴァー・ストーリーとして大々的に特集、表紙上で睨み合う50とカニエの下には〈Who will be the king of Hip Hop?〉との一文が添えられた。

「俺にはあんまり関係ないことだね。どんなアーティストが同時リリースになろうと、俺はどのみち1位になるからさ。何なら賭け金を上げてやるよ。もし発売第一週にカニエが俺のセールスを上回ったら俺は二度と曲を作らないことにする。他のアーティストとコラボしたりはするかもしれないが、ソロ・アルバムはリリースしない」(50セント)。

「50と同じリリース日にしたらCDショップに行くのが楽しみになるだろうし、みんなの話題になるようなタイミングにリリースして2位になるほうが、誰も気に留めない日にリリースして1位になるよりよっぽどいい。要は歴史に残るかどうかっていうことさ。自分自身というよりみんなが歴史を作ってくれるんじゃないかな」(カニエ・ウェスト)。

 喧嘩上等の50と大胆奔放なカニエの激突、となるとおのずと〈ビーフ〉の文字が頭をよぎるが、本稿執筆の時点においては両者の間に不穏なテンションはなく、あくまでエンターテイメント精神に則った2人の闘いぶりがこのバトルの価値をさらに高めている。本誌が店頭に並ぶ頃にはすでに決着はついていることと思うが、勝敗の行方はどうあれ、身体を張って歴史的なイヴェントを盛り上げてくれた50とカニエの勇気ある行動には最大級の敬意を表したいところだ。もっとも、言うまでもなく双方共にこの大一番に相応しい渾身のサード・アルバムを用意してきているわけで、興奮の余韻に浸るには時期尚早というもの。熱狂はまだまだ続いていくのである。
▼『Graduation』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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