2 YEARS AFTER...(2)
KERMIT RUFFINS
『Live At Vaughan's』 Basin Street(2007) 元リバース・ブラス・バンドのトランペッターによる最新ライヴ盤だ。スタンダードを交えつつ和やかに進行する前半から、JBやスライ曲が登場して次第に熱を帯びていく後半への流れがグッドである。味わいたっぷりなペットを聴かせるウィリアム・ディヴォーンのカヴァーが白眉。(桑原)
MEM SHANNON
『Live : A Night At Tipitina's』 Northernblues(2007) 似たジャケのライヴCD-Rを出してた気がするが……NOのソウル・ブルース界で現在最強とも言えるメムやんのニュー・アルバムは初の公式ライヴ盤! 野太い歌声と随所に差し込まれる鋭いギター・ソロはロック好きにも聴かせたいね。ネヴィルズ“Voodoo”のジャム解釈も熱い!(出嶌)
HARRY CONNICK, JR.
『Oh My Nola』 Columbia(2007) 〈オー、僕の愛しき故郷よ〉と両手を大きく広げ、高らかに歌うヴォーカル界の貴公子。この最新作での真剣な眼差しは多くの人の胸を打った。かの地に根差すブルースやカントリーといったさまざまなスタイルを駆使して、リー・ドーシーやサッチモ曲などを愛情たっぷりに料理している。(桑原)
C-MURDER
『Tru Story...Continued』 Tru/Koch(2006) 獄中でハリケーン被災を迎えたノー・リミットの参謀が、出所後に急いで作り上げた一応のカムバック盤。ほとんどが既発曲ながら、ヤル気の漲った新曲は格好良いし、ゲットーでの凄まじい名士ぶりが窺えるボーナスDVDもおもしろい。この後にはメジャーからの新作も待機中だぜ!(出嶌)
ROI ANTHONY
『The Prelude : The True Soul Experience』 Mo-Hitz(2007) 下掲コラムでも紹介されている、レジットのシンガーによるソロ作。NO云々はさておき、近年では珍しいほど情熱的な男声の歌い込みが楽しめるのでR&Bファンには普通にオススメだ。故郷に歌いかけるが如き“Long Way Home”のリミックスも絶品。これでも〈序曲〉なの?(出嶌)
B.G. AND THE CHOPPER CITY BOYZ
『We Got This』 Chopper City/Koch(2007) ハリケーンの前も後もリリース・ペースを守り続けるBGの最新作は、弟のハキムを含む地元の舎弟どもを従えてのクルー・アルバムに。上昇志向丸出しで炎上する若手にほとんどの楽曲で主役を譲りつつ、ズルズルした語り口でルーズに斬り込んでくるBGのユルさがヤバい。ビートも熱いぞ。(出嶌)
EURICKA
『The Takeover』 H.O.F.(2007) オールド・ソウルの伝統的なスタイルが強いNOだけに、現行のR&Bサウンドに挑む彼女は珍しい存在かも。シアラあたりを意識したようなメインストリーム系のクランク・ビートに跨った可憐な歌声はなかなか魅力的。パーカッシヴな“Crunk In The Club”にはジュヴィナイルも駆けつけています。(出嶌)
BONERAMA
『Bringing It Home』 Bonerama(2007) へヴィーなサウンドがウリのブラス・ファンク・バンドがNOの復興を願って行った〈Tipitina〉でのライヴを収めた一作。明るい未来を呼び寄せるには俺たちがファンクをブッ放すしかねぇ、ってな気概が感じられて頼もしい限りだ。ビートルズのハード・ロック曲カヴァーが実にイカシてる。(桑原)
MARVA WRIGHT
『After The Levees Broke』 Aim(2007) 〈堤防が壊れた後〉というタイトルが付けられた、NOLAブルース界のビッグ・ファット・ママの新作。ブルース・ホーンズビーやウィリー・ネルソンのカヴァーなどが聴きものだが、念の入った“Katrina Blues”に耳がそばだつ。ラストのサム・クック曲に込められたメッセージにも胸が熱くなる。(桑原)
WYNTON MARSALIS
『From The Plantation To The Penitentiary』 Blue Note(2007) アフリカン・アメリカンとしてのルーツを見つめ直す音作りが行われた最新作だが、もちろん故郷のNO的なアプローチも実践。ディキシーランド・ジャズ・スタイルの入れ物を使って、ジャズの歴史を焙り出そうと試みた曲はお見事だ。ホント、力持ちなお人である。(桑原)
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