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特集

Smashing Pumpkins

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2007年08月23日 12:00

更新: 2007年08月23日 17:37

ソース: 『bounce』 289号(2007/7/25)

文/新谷 洋子


  〈スマッシング・パンプキンズ=ビリー・コーガン〉という図式は、あながち誤りではない。結成を思い立ったのも、解散を決断したのも、大半の曲作りを手掛けて全作品を共同プロデュースしたのもビリー。ドラムス以外の全パートを独りで演奏してアルバムを作ったことさえある。ゆえに彼は、完璧主義者とも傲慢なメガロマニアとも揶揄されてきた。それでいて初のソロ・アルバム『The Future Embrace』は、パンプキンズの作品とはきっぱり一線を画していたことを、当時奇異に感じたものだ。

 そして、このたび7年ぶりに登場したパンプキンズの新作『Zeitgeist』は、ビリーがドラムのジミー・チェンバレンとふたりだけで制作/プロデュースしたものだが、音はどこを切ってもパンプキンズでしかない。この不思議な棲み分けをいかに説明するのか? ビリーは次のように語っている。

「(ソロ作を発表した当時)僕はこれまで自分が人生で行なったことで最高の、もっとも誇るべきものを窓から放り投げ、新たな城を築いてそこに住もうとしていたことに気付いたのさ。パンプキンズに僕の全ペルソナが凝縮されていたのにね」。

 ならばスマッシング・パンプキンズこそが、彼のなかの特別なクリエイティヴィティーにアクセスできる、ソロよりも自分に正直になれる、そういうマジックを秘めた存在と捉えるよりほかないのだろう。

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