こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

クレイジーケンバンド

この夏、日本全土に発信される〈SOUL電波〉をキャッチしろ!!


  〈CKBの新作ができました!〉は、〈冷やし中華はじめました〉と同じぐらい、夏の到来を大いに実感させるお知らせでありましょう。夏の暑さで浮かされたココロを、毎年毎年刺激的なグルーヴで揺さぶってくれるCKBサウンドが、今年もこの季節に届けられましたぞ!

「レコーディングに入る前、タイに遊びに行ったんですけど、脳にかなりいい刺激を受けましてね。以前行ったときは喧騒というか、渾沌とした場所をメインに巡ったんですけど、今回はいいホテルに泊まって贅沢してみたんですよ。それはそれは白人の金持ち気分になって、デヴィッド・ボウイとかミック・ジャガー目線でジャンクな風景を眺めてるみたいな……ちょっとヤな感じですけど、あえてそうすることで得られるエフェクトをね(笑)。タイの街を歩きながら〈この雰囲気、かつてあったな〉みたいな感じで昭和の日本を思い出したりとか、自分がアジア人であることを嬉しく思えるような気分とか、まあ、いろんな好奇心をくすぐられまくったんで、レコーディング前の準備としてはいいポテンシャルになりましたね」(横山剣、ヴォーカル:以下同)。

それにしても、今回のニュー・アルバム『SOUL電波』は、いつも以上に夏の季語、季音(もちろん造語ですが、たとえばレゲエのリズムだったり、清涼感あるボサノヴァだったり、汗臭いソウルだったり、エロティックに耳を撫でるメロディーだったりっていう)が躍っている、ずいぶんと夏めいたアルバムになったようですねえ、剣さん。

「こういう曲をやろうっていうのはハッキリなかったんですけど、質感だけは最初にイメージがありましてね。夏の感じ……夏の狂気=サマー・マッドネスだとか、あとは香りね。プルメリアとかココナッツとか、サーフ・ショップ行くと売ってるセックス・ワックスの匂いとか、日本のお線香とか、カルピスとか水ようかんとか……アメリカンなものから日本のものまで、そのへんの粒子を楽曲に変換してみたいという思いがあったんですよね。CKBで初めてコンセプチュアルなアルバムが作れたんじゃないですかね」。

ところでベタな話ですが、〈SOUL電波〉ってどういった意味なんでしょう?

「たとえば〈この楽曲、イイんだけどSOUL電波が弱いよね〉とか、っていう感じで使う言葉ですね。それはヴァイブスのことかも知れないしソウルかも知れないし、なんかこう、ビリビリくる/こない、ガツンとくる/こない、みたいな感じを言いたいときに使うんですよね」。

プレイボーイたるものの心得を小粋なジャジー・ビートに乗せて歌う“PLAYBOY革命”、トロピカルでスウィンギーな“TIKI TIKI TROPICAL KINGDOM”、半分実話という剣さんの〈ひと夏のメモリー〉をプレイバックした“タオル”、湿度高めのオリエンタル・チューン“ヒルトップ・モーテル”、剣さんのメロウ・マインドを全開させた“SUNSHINE 888”、ノスタルジックな和メロ+ロックステディの“路面電車”、60's風味のロックン・ソウル・ナンバー“バンコクの休日”、革ジャン系ロックンロール“モンスター・スピード”……(中略)……最後は「それまでの曲にはタブーな恋愛模様を描いてたりするものもあるんですが、ここでフォローしてるんですね。人間捨てたもんじゃないって(笑)」と語る人生応援歌の“生きる。”と親父賛歌“RESPECT! OTOSAN”の2曲で感動的に締め括られる『SOUL電波』。今回も(アイキャッチ含めて)全21曲。相変わらずヴァラエティーに富みながら、「レッドゾーン振り切ってないとダイナミズムを感じられないんで、みっともなくてもなにしても、いっぱいいっぱいのことやった」結果、ソウルな電波をビリビリと放ちまくるアルバムと相成った。そんな今作に剣さんが付けたキャッチコピーは〈考えるな、感じろ!〉。カンフー・ファンにはお馴染み、ブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」のなかで言ってた名セリフでもある。

  「まあ、それを都合良く解釈してね(笑)。今回は、レコーディングがツアーともろカブっちゃったんですけど、そのぶん暖機が十分できて、非常にスムースというか、スタジオに入ったときにすぐにGOできたっていう。スタジオに籠もって集中してレコーディングし続けるよりは、外で刺激をいっぱい受けて脳を活性化させておいたほうが効率がいい。スタジオのなかで煮詰まっちゃうと、考えたわりにはダメなものを作っちゃったりしますから、作る側もまさに〈考えるな、感じろ!〉で。そういう意味ではファースト・アルバムの『パンチ!パンチ!パンチ!』を作ったときの感覚に近いものがありましたね」。

ふむふむ……では、最後にお訊きしますが、夏はお好きですか?

「夏生まれではあるんですけど、特別好きな季節かどうかはわかんないですねえ。でもまあ、強迫観念に駆られるというかね、海とかで遊んでる人を見てハラハラしちゃったり、自分も遊びたくてしょうがなくなるっていう。そういう気持ちが湧くうちは、まだまだ現役でいられるなって(笑)」。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年08月09日 18:00

ソース: 『bounce』 289号(2007/7/25)

文/久保田 泰平

インタビュー