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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年08月02日 17:00

更新: 2007年08月02日 17:25

ソース: 『bounce』 289号(2007/7/25)

文/山西 絵美

横浜生まれのラガマフィン、ARAREの全貌がついに明かされる!


  〈アレレ、アレレ、アラレ~〉と人を喰ったような口調でマイクを捌くARAREは、86年に横浜で生まれたDJ。このたび〈ベスト・ミックスCD〉なる初アルバム『ひとりあそび Vol.0』を完成させたばかりだ。でも、新人とは思えないくらいシーンでの知名度は高い。なぜって? 名前だけ聞いてもピンとこないアナタも、〈Road To 横浜レゲエ祭〉の覇者として昨年の〈レゲエ祭〉でトップを飾った男……と説明したら合点がいくかしら!? その〈レゲエ祭〉を機に注目度が急上昇し、良くも悪くもメディアはこぞって彼を持ち上げるようになった。

「これから自分の実力を立証していかなきゃならないってことですよ、担がれているぶん」。

 周囲の喧騒に浮かれることもなく、現在の立ち位置を語る彼。な~んかフツウじゃない空気を漂わせている。だいたいアルバム・タイトルにしたってなんで〈Vol.1〉じゃなくて〈0〉なのよ?とか、〈ベスト・ミックスCD〉ってなんなの?とか、ベストっていうわりにはほぼ新録曲じゃない!とか、引っ掛かる点がいっぱい。そんな疑問をブツけてみても、彼は言葉を詰まらせた挙句に「まぁ、俺はただDJをしてるだけなんで」と笑ってみせる。とにかく掴みどころがない。

  掴みどころがないと言えば、彼のスタイルも然り。ガナるわけでもなく、美声でもなく、取り立てて特徴のある声を持っているとは思えないのだが、それをヘロヘロとしたフロウに乗せることで一度聴いたら忘れられないモノへと昇華させている。ラフでラガ、これがARAREの持ち味だ。

「DJとしての個性や持ち味は現在も模索中。だけど、誰かの真似は絶対にしたくないんです。自分を貫いているっていうのがラガなスタイルだと思っているんで」。

 また、よく練られたリリックにも定評があり、日常的なトピックを吸い上げてそこから幅広い方向――例えば納税をテーマにした“Love Letter”など社会的なメッセージ・ソングや“G-行為”に窺える言葉遊び全開のユーモラスなチューンなど――へと繋げていく。

「リリックはパッと思いついた時に作りますね。メモするのは嫌いだから。そもそも外出する時は荷物を持たないし」。

 いやはや、天才なのか、それとも……。そのあたりは本人が今後キチンと音楽を通じて証明してくれるだろう。最後に、〈この先レゲエ・シーンにどうなってほしいか?〉と尋ねてみた。

「どうなってほしいというよりは、俺たちがどうにかしなくちゃいけないですね。底から上げてかないと。〈一過性のブームで終わるんじゃ?〉と危惧する声もあるけど、このままだったらそれもありえるんじゃないかな。もっと俺ら世代がしっかりしなくちゃいけないと思うんですよね。いまよりもっとレゲエをやんなきゃダメだし、もっとレゲエを知らなくちゃいけないし、まだ足りないことが多すぎですね。このまま普通にやり続けちゃうと終わる気がする。突き詰めてかないと、もっと」。

 理由はわからないけど、この男ならレゲエを武器になにかデカイことをやらかしてくれそうな気がしない!?
▼ARAREが参加した作品を紹介。

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