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特集

Joni Mitchell(3)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2007年07月19日 11:00

更新: 2007年07月19日 17:43

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/渡辺 亨

〈進化〉から〈深化〉へ

 80年代に入ると、ジョニはゲフィンに移籍。新しい夫のラリー・クラインのプロデュースのもと、『Wild Things Run Fast』(82年)を皮切りにほぼ3年に一枚のペースでアルバムを発表するようになる。アサイラム時代がジョニの音楽の〈進化〉の時代ならば、ゲフィン時代は〈深化〉の時代。しかしながら、『Dog Eat Dog』(85年)では一部の曲にトーマス・ドルビーをプロデューサーとして起用し、コンピューターを導入。『Chalk Mark In A Rain Storm』(88年)では、ピーター・ガブリエルやウィリー・ネルソンらと初共演してもいる。古巣のリプリーズに復帰してリリースした『Turbulent Indigo』(94年)と『Taming The Tiger』(98年)は、いずれも秀作。とりわけ『Hejira』を熟成させたような後者は、80年代以降のオリジナル・アルバムの最高傑作だ。

 その後に発表された『Both Sides Now』(2000年)は主にジャズ・スタンダードを、『Travelogue』(2004年)は彼女自身の代表曲をカヴァーしたもの。どちらもオーケストラの演奏に乗せて、ジョニが名曲を歌い綴った秀作である。『Travelogue』はこれまでのジョニの活動の集大成的な意味合いを持つが、このアルバムを最後に、彼女は〈もう新しいレコードを発表するつもりはない〉と明言。つまりレコーディング・アーティストとしての引退を表明したのである。現在の音楽業界に対する深い失望が、その最大の引き金だった。が、ジョニは、今年2月に上演されたカナダのアルバータ・バレエの新作の音楽を手掛けたし、すでにアルバム一枚ぶんの新曲を書き上げているという。この孤高のアーティストの、〈音楽を描く旅〉はまだまだ続く――。

▼ジョニ・ミッチェルのベスト盤を紹介。

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