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そもそもエモってなに? 予備校生2人の会話にその答えが隠されている……かも!?

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年07月05日 14:00

更新: 2008年05月20日 12:10

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/山西 絵美、粟野 竜二

田中「先輩! エ、エモについて教えてくださいッ!!」

先輩「なんだよ、いきなり。しかも声デカイし、顔近いし……お前ちょっとキモイよ」

田中「スイマセン! でも身体がエモを欲しているっつーか、湧き上がる激情を抑えられないっつーか」

先輩「なんだかよくわかんねぇけど、そもそも田中はエモの歴史をちゃんと知ってるわけ?」

田中「いや、ジブンそういうのは苦手で」

先輩「ダメだなぁ。だからオマエはいつまでたっても合格できないんだよ」

田中「そういう先輩だって、浪人記録更新中じゃないですか! で、先輩はエモ史、完璧なんですか?」

先輩「(得意気に)あたりまえだよ。エモっつーのは、もともとハードコアの延長として〈エモコア〉って呼ばれてたんだよ。その前身としてハスカー・ドゥーやゴリラ・ビスケッツ、ライフタイムなど80年代のUSハードコア勢にもメロディーを打ち出したバンドがいたんだけど、マイナー・スレッドのイアン・マッケイが結成したフガジのファンが、ライヴ中に〈お前たちはエモコアだ~〉って叫んだのが起源だと言われてるんだ」

田中「なんかクールっすね」

先輩「だろ? 哀愁のある歌が、マジで最高だったんだって! ハードコアよりも叙情的で、感情を剥き出しにしたメロディーを奏でてっつーか。同時期に流行っていたメロコアはノリ重視でメロディーも陽性だったんだけど、エモコアはどこか暗さを孕んでいるんだよな」

田中「(鼻毛を飛ばしながら)へぇ~」

先輩「で、90年代後半に入ると、ジミー・イート・ワールドやプロミス・リング、ゲット・アップ・キッズといったバンドが世界規模でブレイクするわけだけど、この頃になるとエモコアのコア、つまりハードコアの部分が薄くなって、エモとかエモ・ロックって呼ばれるようになるんだ。大きな違いを問われるとうまく答えられないんだけど、エモコアの持つ哀愁味が薄れて、泣き虫の要素が強くなったかな。そうそう、ウィーザーの影響が強いとも言われてるよ――ってお前ちゃんと聞いてるのか!?」

田中「……スイマセン。先輩の話が長すぎて、寝てしまいました。ちなみにUSでもエモはエモなんですか?」

先輩「スペルは同じで、発音はイーモだな」

田中「芋? なんかダサイっすね」

先輩「そう言うなって。実際はギャルのファンも多いんだから」

田中「ジブン硬派なんで、そういうのはベツに……」

先輩「てか、鼻の下伸びすぎ! でもよ、フォール・アウト・ボーイのピート・ウェンツはアシュリー・シンプソンと恋仲だっていうし、すっかり太っちまったパトリック・スタンプだって本国ではアイドル的人気だそうじゃんよ」

田中「確かにパトリックはモチ肌ですもんね」

先輩「ヘンなフォローはいらないから! ところで、田中はエモのライヴに行ったことあるの?」

田中「ぶっちゃけナイんですよ。どんな雰囲気なんですか?」

先輩「パンクのライヴに比べると暴れてる奴は少ないかな。どっちかというと、みんなで合唱してる感じ。なかにはボロボロ泣いてる奴もいるんだよ」

田中「かなりエモいじゃないですか! 今度連れてってくださいよ」

先輩「おう、全然いいよ」

田中「やべぇ、ちょ~嬉しいんですけど! ちなみに、会場には何を着ていけばいいんですか?」

先輩「そうだなぁ~……よく見かけるのは、デニムにTシャツ、しかも比較的サイズはジャストだな。Tシャツはバンドものか古着がベターで、スニーカーはコンヴァースかヴァンズ率が異様に高いかも」

田中「なんかフツウっすね、ってか、あんまりモテそうな匂いがしないんですけど……」

先輩「あっ、でも最近じゃマイ・ケミカル・ロマンスあたりの影響か、前髪を伸ばしてサイドに流してる奴もいるし……」

田中「じゃあ、ジブンはクールにキメたい派なんで、サイドに流す的な感じで! ついでにアイラインも入れてみます」

先輩「お前はオバチャン顔だから、アイラインはやめとけ! ライヴハウスが一気に商店街に様変わりしちゃうからな!」

田中「(舌打ち)」

先輩「まぁ、いろいろレクチャーしてやったけどよ、実は〈こういうものがエモだ!〉って明確に定義づけできるもんじゃねえんだよ」

田中「なんなんすか? 混乱させないでくださいよ」

先輩「なにがエモくてなにがエモくないかは、テメエの耳で見極めろってことだな」

田中「なんかのTVCMみたいですね」

先輩「そう、自分のエモーションに従うまでよ……(遠い目)」

田中「先輩、渋いっす!」

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