Black Strobe(2)
ルーツが反映された仕上がり
そういった要素を自分たちのものにするため、今作ではギター・サウンドとシンセをミックスする術に長けたポール・エプワース(ブロック・パーティー、フューチャーヘッズ)とアラン・モールダー(U2、デペッシュ・モード)を起用。ロマンティックでメランコリックな雰囲気を醸し、彼らの美学が貫かれたアルバムを完成させた。それを象徴するのがボ・ディドリー“I'm A Man”のカヴァーだ。
「前から気になっていた曲で、今回のアルバム全体を上手く表現している曲でもあるんだ。今作はブルースやリズム&ブルース、ロカビリーに非常に影響を受けているんだけど、その全部の要素がいい感じにミックスされている曲なんだよね」。
ブラック・ストロボのようにダンス・ミュージックのクリエイターが、サウンドにライヴ感を出すべくギターやヴォーカルを入れ、バンド形態に傾倒していく例はこれまでにも多々あったが、彼らも今後はその傾向を強めていくのだろうか。
「ロック寄りのシングルだったとしても必ずブラック・ストロボとしてのクラブ・リミックスを作るし、自分のソロ名義でもブラック・ストロボでもエレクトロニック・ミュージックを制作し続け、リミックスも引き受けていこうと思ってるよ」。
というわけで彼らはこれからもダンスとロックの両面で楽しませてくれそうである。さて、最後にファンが気になっているであろう〈イヴァン脱退〉という噂の真相についての質問をアルノーにぶつけてみた。ライヴ・ステージや最新のアーティスト写真からイヴァンの姿が消えていることで噂は現実味を帯びてきたが……。
「いまイヴァンはDJのキャリアに集中しているんだ。彼は楽器を弾いたりするミュージシャンじゃないから、バンド形態としてのブラック・ストロボに参加するのが難しくなったんだ。でもこのアルバムの制作においては歌詞を担当するなどフルに関わっていたよ」。
歌詞だけ?と訝しがる方もいるかもしれないが、まだイヴァンはこのユニットに健在のようだ。ファンの人はこの発言に一安心!?
ブラック・ストロボの選曲によるパリ観光案内ミックスCD『Time Out Presents The Other Side : Paris』(Deaf Dumb & Blind)
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