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特集

COSMIC SOUL FROM INNER SPACE(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年06月07日 11:00

更新: 2007年06月07日 17:24

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/出嶌 孝次

LOW BUDGET SOUL
『Strangers To The Ordinary』
 Futuristica(2006)
ブレイク・リフォームを率いて良作を連発していたサイモンSの新プロジェクト。すでにアブストラクト・ブルーのコンピなどで評判になっていたが、胸が疼くようなメロウネスはこのフル・アルバムでいっそう純度の高いジャジー・グルーヴに精製されている。女声との絡みも良好。

TIOMBE LOCKHART
『Tiombe Lockhart #1』
 OCTAVE(2007)
セイントの“All You'll Be”やプラティナム・パイド・パイパーズの“Stay With Me”などにフィーチャーされて脚光を浴び、現在はワジードのクルー=ブリング47に名を連ねる女性シンガー。今作はワジードが彼女にコンタクトを取る要因となった、自主制作のCD-R盤『Bootleg #1』にボーナス・トラックを追加した素晴らしい日本編集盤だ。大学時代の親友だというビラルがプロデュースした“Mr. Johnnie Walker”(鍵盤はロバート・グラスパー)が曲そのものの出来ではズバ抜けているが、濃厚でパワフルなソウル・ヴォイスをサラリと聴かせるヴァイブス・コントロールの巧みさはどの曲でも本当に絶品だ! 現在はプライヴェートでも交際中らしいワジードが全面バックアップするというニュー・アルバムがいまから楽しみになってきた。ティオンベ・ロックハート……この名前は覚えておいたほうがいいよ。筆者は覚えておく。

PATTIE BLINGH AND THE AKEBULAN
『Sagala』
 Ramp(2007)
ストーンズ・スロウからのデビューでいきなり高い評価を得たジョージア・アン・マルドロウの別名義作。交信電波を散りばめたようなアレンジやフリーキーなメロディーセンスなど、Pファンク的な未来観をロウに吐き出すブッ飛んだ作りが凄い。これはきっと本当に宇宙生まれの音だ!

BUSHMIND
『BRIGHT IN TOWN』
 TAD SOUND/tearbridge(2007)
STRUGGLE FOR PRIDEのリミックスで知られたBUSHMINDの初作。やけのはらやDJ NOBUなど日本の地下音楽VIPやデトロイトの仲間をユルくフィーチャーし、モコモコした手触りのビートも相まってピースフルなヴァイブを演出している。サイケな空気感を浴びて地下の宇宙を見よ!

SUPER SMOKY SOUL
『CYCLING』
 CIRCULATIONS(2007)
その名のとおりのスーパーにスモーキーなソウルを紡ぎ出す、日本が誇るべきビート魔術団のファースト・アルバム。ポスト・サー・ラー世代ならではのハイブリッドな音楽性を聴かせ、ブギーなベースやシャワー感のあるキーボードを自由気ままに浮遊させまくり。酩酊必至です。

AMP FIDDLER
『Afro Strut』
 Genuine/PIAS(2006)
裏方期のキャリアを華やかに総括した前作『Waltz Of A Ghetto Fly』とは異なり、この2作目ではよりソング・オリエンテッドな楽曲が並んでいる。洗練された演奏のグルーヴ感に、温かみのあるソウルフルなヴォーカル、適度に泥臭いファンクネスがイイ塩梅で混合された力作だ。

PHAT KAT
『Carte Blanche』
 Look(2007)
J・ディラと1stダウンを結成し、グループ解散後も行動を共にし続けた盟友のセカンド・ソロ・アルバム。スラム・ヴィレッジのエルザイをフィーチャーした先行シングル“Cold Steel”など5曲のビートがディラから託されたもので、主役のザラリとしたハード・ライムに合わせてか、いずれもストレートながら滋味深い出来になっている。その他のトラックはディラの弟子筋にあたるBR・ガンナの2人(ブラック・ミルクとヤングRJ)がそれぞれ手掛けているが、そちらのほうがディラ・スケールに則った宇宙的質感のビートなのも興味深いところ。

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