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フィラデルフィアに息づくソウル・スピリット

 数年前にフィリー勢が注目を浴びた際、「俺たちはいつでも世に出て行く準備ができている」とジャジー・ジェフは語った。つまりフィリーは、常にハイ・クォリティーな音楽を生み出しているということだ。全米有数のブラック・タウンならではのドス黒くハードコアなスピリットが反映されたフィリーのR&B。それは穏やかでいて激しい。近年では、ジェフのミックステープに収められて注目を浴びたジョセフィン・シンシアの『Wildflower』もそんなことを物語る良作だった。また、これまで数々のネオ・フィリー作品に客演してきたキャロル・リディックは、苦節10年を経て昨年『Moments Like This』でアルバム・デビュー。ジェイムズ・ポイザーらが制作したそれは蕩けるほどジャジーなヴァイブを放ちながら気高くソウルしていた。ドイツのジョイ・デナラーニがフィリーに出向いて録音した『Born & Raised』も実にそんなフィリーらしい剥き出しのソウル感が痛快だった。このたび新作をリリースしたミュージック・ソウルチャイルドやジル・スコットはもはやフィリーという括りを超えたスターだが、やはりかの地らしいソウル・スピリットは健在。今後はエイリーズらのアルバム・デビューにも期待が募る。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年03月29日 11:00

更新: 2007年03月29日 19:39

ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)

文/林 剛

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