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Young, Gifted And...(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年03月29日 11:00

更新: 2007年03月29日 19:39

ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)

文/内本 順一

はじめまして、ジョスです

 なぜか。答えはあきらかだ。ついに〈本当の自分〉を表現したアルバムを完成させ、いま、そこからの曲をみんなに聴いてもらえるからである。

「やっと〈大好き!〉って言えるアルバムが作れたから、もう嬉しくて。これまでの2枚は本当の自分らしさが表現できていなかったわ。自分の一面は出せていたけどね。でも今作はどこを取っても私らしさが溢れている。音符ひとつ、言葉ひとつ取ってもね。何より家で聴いて、〈良いアルバムだわ〉って思えるの。正直、前の2枚は家では聴けなかった。聴くだけで身の縮む思いがしたの。みんなに気に入ってもらえたのは良かったけど、ハッキリ言ってあの2枚は私の好みじゃないわ。でも今作は大好き。やっと手を差し出して、〈はじめまして、ジョスです!〉って自己紹介できるアルバムになったのよ」。

 だから、タイトルは『Introducing...Joss Stone』。まるでデビュー作のようなタイトルだが、彼女にとってはまさにここからが本当の始まりといった気持ちなのだろう。それにしても前の2作を「聴くだけで身が縮む」とまで言うとは……。まあ、確かにデビュー・アルバム『The Soul Sessions』は、S・カーヴのCEOにしてソウル研究家でもあるスティーヴ・グリーンバーグやプロデューサーのマイケル・マンジーニといった〈大人たち〉が、ジョス・ストーンという若くてユニークな才能を使って実現させた〈ワシらのソウル黄金期のロマンをもう一度〉的なアルバムではあった。

「あのアルバムを一言で言うなら、〈ヴィジョン〉。といっても、私のではなく、他の人たちのヴィジョンだけどね。私の作品というよりは、私が関わった作品。関わることができて光栄ではあったけど」。

 だからジョスはその翌年、今度は〈自分のアルバム〉を作るべく、みずから数曲を書いて初のオリジナル・アルバム『Mind Body & Soul』に入れた。が、制作の主導権はグリーンバーグとマンジーニにあり、評価はされたが、彼女自身はまだ納得がいかなかった。

「あのアルバムは、一言で言うなら〈初の試み〉。自作曲を初めて収録することができたからね。でも、疲れ果てている時に大急ぎで作らなくてはならなかったから、全曲を好きにはなれなかったの。1枚目よりはいいけど、それでも自分のアルバムという感じがしなかったわ」。

 そうした反省を踏まえて、ジョスは今回、作品を作りはじめる前に、まずEMIの(当時の)エグゼクティヴのところに出向いて、こう掛け合ったそうだ。

「誰かに指示されて作るのではなく、私の思うように作らせてほしい。制作中は干渉されたくないし、好きじゃない人にスタジオに来てもらいたくない。私を信頼してアルバムを作らせてくれないのなら、このレーベルとはもう仕事はできない──そう言ったの。彼としては、まだ10代の私の希望どおりに作らせたところで良いものになるかどうか、確信が持てなかったでしょうね。でも彼の答えがノーだったら、私は実家に戻って笑顔になれる別の何かを探すしかないと思っていた。そういう覚悟で掛け合ったのよ。言いなりになって作るアルバムでは、私は笑顔になれないとわかっていたからね」。
▼『Introducing...Joss Stone』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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