KLAXONS(3)
僕らは奇妙なポップ・バンドさ!
しかし、彼らを単なるロマンティストと呼ぶなかれ。なにしろもっともシンパシーを抱くミュージシャンについて訊いたところ、迷うことなく返ってきた答えが「KLF!」という言葉。つまりこの3人は立派な変人だ! なにしろKLFといえばすべてのロック史に反逆し(というか〈常識〉と闘うのではなく単純に無視)、ハチャメチャ(かつ爆笑)をやりつつ、さまざまなレイヴ・アンセムを生み出して国民的な支持を獲得し、かと思えば突然アンビエント作品をリリース。果ては、92年の〈ブリット・アワーズ〉授賞式でのパフォーマンス後に〈音楽産業と決別する〉とだけ言い残して、そのまま本気で消えた――つまりは最高のバンドなのだから。
「ビル・ドラモンド(元KLF)の著書〈The Manual -How To Have A Number One The Easy Way〉に書いてある内容を参考にしたんだけど、踊れる曲における黄金のテンポというのは134BPMなんだってさ。で、それを今回のアルバムのほとんどの曲で採用したんだ。すべての曲で少しずつ違う速さにしてるけど、スロウにした曲はどことなくメランコリックになったね」。
自分たちを「奇妙なポップ・バンド」と呼び、ポップスというものを「できるだけ多くの人に聴いてもらえる音楽で、友達に口笛で吹いてあげられるような曲」だと定義するクラクソンズ。つまり彼らの音楽へアクセスする扉は、常にオープンだ。誰もに聴いてほしい――そんなクラクソンズに巻き込まれ、踊ることそのものが心地良いのは、だからごく自然なことだったりする。
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