こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

Just a touch of...

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2007年03月08日 11:00

更新: 2007年03月08日 13:42

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/青木 正之

ニュー・スクール・フレンチ・タッチの夜明け

 90年代後半、ダフト・パンクを中心にエティエンヌ・ドゥ・クレシー、エール、カシアス、スターダスト、アレックス・ゴファー、ディミトリ・フロム・パリ、モーターベースなど次々と押し寄せたフランスからの新しい波、それらを総称する言葉としてUKのメディアが名付けたとされる〈フレンチ・タッチ〉。彼らは本国のみならず当時のUKナショナル・チャートをも席巻し、なかでもダフト・パンクやスターダストらはUSハウス・シーン(もちろん日本でも!)にも跨って大ブレイクを果たしましたが、その主流となったのが80年代のディスコ・フレイヴァーにフィルターやヴォコーダーを使ったハッピーでアッパーな4つ打ちトラックで、〈フレンチ・タッチ〉という言葉は主にそのようなフランス産ディスコ・サウンドに用いられてきました。しかしながら徐々にその言葉も曖昧になり、新しい世紀を迎えるあたりになると、ル・トーンなどのブレイクビーツ系から、フェニックスやモジョのように爽やかなグルーヴ感を持ったポップ・ユニットにまでその対象が広がっていくことに。その後、先述したアーティストはもちろん、それらの作品に関わった人たちが続々とリリースを重ねていきます。

 そのようなディスコ・ハウス/ポップスをベースとした表街道に光が当たる一方、裏街道ではヒップホップやエレクトロ路線を標榜するタクティールやDJメディ(日本盤がリリースされるも、ほとんど話題にならず……)が活動を開始していました。タクティールは自身のユニット=ATKで活動しながら、パラ・ワンと共にTTCの作品にトラックメイカーとして参加。またメディはMCソラーのプロデュースなどに始まって、カシアスやジョアキムらのリミキサーにも起用されるなど、徐々に交流を活発化させていきます。ただ、実際には親交があったとはいえ、まだ微妙に距離があったように思えるこの2つの流れ。それがここにきて革命的に急接近を始め、自然と形成されてきたのが現在の〈ニュー・スクール〉シーンだと言えるでしょう。ダフト・パンクのマネージメント・チームのひとりであるペドロ・ウィンターが立ち上げたエド・バンガーはメディやジャスティス、セバスチャンを、タクティール主宰のインスティテューブスはパラ・ワンやサーキンを、日本でもお馴染みのキツネは(ドイツ産ですが)デジタリズムなどを送り出し、なおかつお互いの作品をリミックスし合うなどしてサークルはどんどん拡大しています。ヒップホップとディスコ~ハウスをそれぞれ基盤としながらも、両者がもともと内包していたエレクトロを媒介にして結び付いたサウンドは、結果として下品なまでにアッパーで最高なものに。この新しいフレンチ・サウンドは、ロック界隈で話題の〈ニュー・レイヴ〉などともリンクしながら、いま新しい潮流を生み出しているのです!
▼関連盤を紹介。


アレックス・ゴファーの99年作『You, My Baby And I』(Solid/V2)

インタビュー