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特集

小林武史×箭内道彦(2)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2007年02月22日 16:00

文/川口 美保

AP BANG!は〈ひねり〉がポイント


小林「僕は2年目のap bank fesが終わった後に、ap bank fesでカヴァーしきれないところって何なんだろうということを考えたんです。ap bank fesは、Mr.Childrenというキャラが象徴するように、コアが太くて深い、そういうフェスだったと思うんですが、どこか〈いい人〉感があって、いい人が参加するみたいに見えていたところもあると思います。だけど実際そこに取り込まれないものもたくさんある。でも僕はそういう部分も未来のことと関わっていけると思っているし、eco-reso(註3)というのは、もっとそういうところにも拡げていけると思ったんです」

箭内「いま小林さんが言ったことはすごくよく分かります。僕はap bank fesに2回とも行ったんですけど、自分はややカヴァーされてないなという感じがしたんですよ(笑)。フェス自体は大成功で感動した反面、なんとなくそこに完全に一体化できてない自分を感じたんです。しかもそれがややコンプレックスとして育ち始めていたんですよ。〈俺にはCO2のことなんてわからないや〉とか、〈俺、子供いないから未来とか興味ないのかな〉とかね」

小林「それはなかなか痛いカミングアウトだね(笑)」

箭内「だからあの雰囲気に入れない人たちって実はたくさんいるんだろうという気はしていました。でもその人たちがどう行動していくかが、世の中の大きな動きを作るうえで絶対必要だろうと思うんです。そういう人たちのスイッチをどこで入れることができるのかに僕はすごく興味がある。わりと僕は、環境への意識に対して一番後ろからついて行ってる感じだと思うんです。でもそんな自分がしっかり関われたと思えた時は、偉そうに言うけど、世の中が変わると思うんですよ」

小林「僕は別にいい人を増やしたいわけでもないし、世の中みんないい人にならないと未来が変わらないと思っているわけでもない。基本的に、人はみんなそれぞれ好きなように生きていいって思っているんですね。それは僕がロックから学んできたことで、だけど人のせいにするのではなくて、どこかで心の有り様が変わっていかないと、いまの環境のさまざまな問題を食い止めていけないかもしれないと思う。お金に走り過ぎちゃう社会がもう一度精神性みたいなものを取り戻していくにはどうであればいいのか、ということを考えるんです。でもやっぱり人間、欲望は絶対に切り離せないじゃない? だから楽しみながらみんなが開かれていて、いろんな気持ちを俯瞰で見るようなことができると何かが変わる気がするんですよ」

箭内「いま、僕がイヴェントの内容を作っていくうえで思っているのは、ここに参加するクリエイターはきちんとしたものの考え方を持たないと難しいだろうなということです。〈わかる〉ということだけじゃなくて、〈わからない〉と堂々と言うのもきちんとしたものの考え方のひとつですけど、それぞれがどういうテーマで何を伝えていくかということをちゃんと考えることが大切だろうなと」

小林「例えば食糧不足は本当に起こりえる。だからカップヌードル確保しておこうみたいなそういうパフォーマンスがあって、その下でカップヌードル売ってるっていうのですら僕はアリだと思う。ただの訳の分からないハッタリじゃしょうがないんだけども、パフォーマンスとしての理由があればいいんです。その1回〈ひねる〉っていうのが大事で、ひねらないと伝わらない人もいる。でもそういう部分は誰しも持ってるんですよ。だから、こうすれば未来は明るいというだけじゃなくて、もしくはねじったうえでこうすれば未来は明るいでもいいんだけど、そういういろいろなアプローチの方向があっていい」

箭内「その意味で〈東京環境会議〉というタイトルはいいですよね。こんな事やってるのに〈東京環境会議〉って呼ぶ温度差というか、極端さというか。会議って言うと〈6カ国会議〉とかあるけど、結局ひとつにならなくてもいいわけですよ。誰かが猛反対したり、俺は違うと思ってもいい。そこは参加した全員が一体感を感じるap bank fesとは対極にあると思います。僕はかなり後ろにいるんですけど、入口でもあると思っているんですね。今までは入口が1か所しかなくて、そこで検問を通過した人しか入れない、みたいな感じだったんですけど、スイッチが体のどこに仕込まれてるかわからない。そういう変な入口をいっぱい仕掛けておきたいと思う。それができたら大成功だと思いますね」

註3:〈エコ・レゾナンス〉の略で、レゾナンス(resonance)=〈共振・共鳴〉の意味。エコ意識の共振・共鳴をイメージしたap bankのコンセプト。

AP BANG! 東京環境会議
3月16日(金)、17日(土)、18日(日)
@東京・新木場STUDIO COAST
静岡県つま恋から、場所を大型クラブ新木場STUDIO COASTに移して行われる、ap bankの次なるフェス・イヴェント。さまざまなクリエイターのレゾナンスによってパフォーマンスが繰り広げられる、3 daysオールナイト。
企画・制作:小林武史/丹下紘希/箭内道彦/中村聖子 ほか
オフィシャルHP:http://creators.apbank-ecoreso.jp
※出演者、チケット発売日、料金などはHPにて随時発表予定。

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