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特集

ポジティヴなルーツ回帰の流れ

国内外問わず、〈ニュー・ジャズ〉と形容されるクラブ・ジャズ・シーンとリンクした、ハード・バップやジャズ・ファンクをプレイするイキのいい若き新世代バンドが活況を呈した2006年。一方、ここ数年の世界的な潮流であるオーソドックスなスタイルの女性ヴォーカル勢も大活躍。それらは時代の気分を敏感に汲み取った、積極的なルーツ再評価の動きとも取れる。また、大物同士による優れたコラボ作品が生まれたのも2006年の特徴といえるだろう。

noon 『Smilin'』 ビクター 
TVCMでもその優しい歌声を聴かせてくれた、スロウ・ジャズ系人気ヴォーカリストの3作目。往年のスタンダード・ナンバーからポップスまで、穏やかなムードでジャジーかつポップにカヴァーしました。情感たっぷりに歌う“涙そうそう”では初の日本語詞も披露。
(小高)

CASSANDRA WILSON 『Thunderbird』 Blue Note 
2年半ぶりの新作はケヴ・モーやマーク・リーボーらが参加し、打ち込みを大胆に採り入れたポップなサウンドというファンの意表を突いたものに。しかしその斬新さが彼女のブルース魂をさらにクールに引き立たせている。2006年指折りの名ヴォーカル・アルバムです。
(小高)

BOSTON HORNS 『Bring On The Funk』 Boston Horns 
2006年も豊作だったジャズ・ファンク界のキングに決定! パンチの利いたホーン・セクションを武器に、腰を直撃するへヴィーなファンクを繰り広げた6人組のこれが日本デビュー盤。ベイカー・ブラザーズと回った来日公演も大いに盛り上がりました。
(小高)

RH FACTOR 『Distractions』 Verve 
メインストリームで華々しいキャリアを築きつつ、そこに留まらないクロスオーヴァーな活動を見せたロイ・ハーグローヴ。このユニットではネオ・ソウル~ジャズ~ヒップホップを見事に折衷し、ソロではストレート・アヘッドな作品もリリース。その多様なスタンスを明確に示した。
(吉村)

THE JAZZINVADERS 『Up & Out』 Social Beats 
クラブ・ジャズ・シーンを席巻し続けるヨーロピアン・ニュー・ジャズの注目株がオランダから登場! ハード・バピッシュなホーン・アンサンブルとボサノヴァやラテンを主体としたダンサブルなビートでフロアを沸かせる、最高にスタイリッシュな奴ら。
(小高)

quasimode 『oneself - LIKENESS』 インパートメント 
タビー・へイズ“Down In The Village”のカヴァーが著名DJたちにヘヴィー・プレイされた実力派の初アルバム。ニュー・ジャズの流れを汲む完全生演奏のグルーヴィーなサウンドで、日本のクラブ・ジャズのレヴェルの高さを改めて実感させてくれました。
(小高)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年12月28日 11:00

更新: 2006年12月29日 00:22

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/ダイサク・ジョビン、小高 麻子、吉村 健

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