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特集

シーンの活性化から良作が多数輩出

個々のシーンが自立度を高めつつも緩やかな連帯を維持することで、層の厚みを増した感のある2006年の日本クラブ界。〈海外での高評価=カッコ良い〉といった逆輸入的な認知から、日本産のダンス・ミュージックが日本でもしっかりと支持を集めた上で海外に発信されていく、という好循環が形成されたのも印象的です。また、JAPANESE SYNCHRO SYSTEMをはじめ、石野卓球と川辺ヒロシが合体したInKなどヴェテラン同士のコラボ作も大きな話題に。

A.Y.B. Force 『Lost Breaks』 Pヴァイン 
京都のサンプリング集団によるファースト・アルバム。ブラジリアン・ジャズ、ボッサ、ソウルのメロウネスを融合させたブレイクビーツが、多くのビート・ジャンキーを虜に! メンバーであるBULLJUNのソロ作を含め、1年を通じて話題を提供してくれました。
(郡司)

Little Big Bee 『WATERMAN』 flower 
レーベル設立10周年を経てバンド編成のライヴを敢行したりと、いつになくアーティストとしての顔をより前面に押し出した2006年の高宮永徹。その幕開けを飾った12年越しのファースト・アルバムは、ディープでセクシーでソウルフルな国産ハウス・アルバムの金字塔的名盤!
(牛島)

cro-magnon 『cro-magnon』 SWING-MAN/NMNL 
イヴェント〈nbsa+×÷〉をはじめ、数多くのライヴ活動で注目を浴びた新世代型ダンス・ミュージック・バンドの初アルバム。ソウルを中心に、ダブやレゲエを採り入れたクールな音世界は、2006年のクラブ・シーンの盛り上がりに一役買った。
(郡司)

DJ BAKU 『SPINHEDDZ』 POPGROUP 
自身が手掛ける〈KAIKOO〉をSHIBUYA-AXで開催するなど、大きく飛躍した稀代のターンテーブリストの2006年を象徴する初アルバム。ヒップホップもレゲエもロックも呑み込んで緻密に再構築されたドープな音世界が、コラージュ音楽の新たな地平を提示した衝撃作です。
(郡司)

INO hidefumi 『Satisfaction』 Innocent 
抑制の利いたビートにジャジーなフェンダー・ローズが絡む、滋味に溢れた逸品。ヒップホップの定番ネタであるユセフ・ラティーフ“Love Theme Of Spartacus”のカヴァーも収め、いまなお高く支持されている本作の登場は、2006年のクラブ・ジャズ界最大の収穫かも。
(牛島)

DISCO TWINS 『TWINS DISCO』 キューン 
長年旧交を温めていたDJ TASAKAとKAGAMIから成るテクノ・ユニットのデビュー作。2006年のシーンにしばしば顔を覗かせた80年代の空気や、2人に通底する(?)ニューウェイヴ趣味も全開。ヴォーカルで参加した吉川晃司の存在が必然にさえ思える、化学反応の妙に痺れた!
(牛島)

NIGHT JUNGLE 『JUNGLE CRUISE』 DELPHONIC 
2年ぶりとなるソロ作の発表をはじめ、数多の作品への客演など多忙な2006年を駆け抜けたディジュリドゥ奏者、GOMA。そんな彼が気の置けない仲間と組んだジャム・バンドのファースト・アルバムは、レゲエとアフロ、そしてジャズの風味が闇夜の密林を照らし出す怪作!
(郡司)

JAPANESE SYNCHRO SYSTEM 『THE ELABORATION』 LIFE LINE 
大物同士のコラボ作品が相次いで登場した2006年のクラブ・シーンにおいて、CALMとILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)による本作が残した痕跡は特に大きかった。ガラージの快楽原則を共通項に、互いの個性を融和させたミラクルな一枚!
(牛島)

沖野修也 『UNITED LEGENDS』 ジェネオン 
SLEEP WALKERやDJ KAWASAKIをはじめ、豊作だった2006年のKJMファミリーの活動をビシッと締め括ったボスの初ソロ作は、現行クロスオーヴァー・シーンの主要人物相関図ともいうべきメンツが集った豪華盤。2007年も世界中のダンスフロアを揺らすことでしょう。
(牛島)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年12月28日 11:00

更新: 2006年12月29日 00:22

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/牛島 絢也、郡司 和歌

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