J-ALTERNATIVE
より強烈なオリジナリティーで勝負
多様なスタイルが現れた2006年のオルタナティヴなバンド・シーンを一言で総括するのは不可能だが、長いキャリアのなかでも最高の作品を作り上げたクレイジーケンバンド、ZAZEN BOYSなど中堅やヴェテラン勢の充実した活動は素晴らしかった。一方でジャズ系のSOIL&“PIMP”SESSIONSやピアノ・ポップのSUEMITSU & THE SUEMITHなど新たな顔もイキが良い。よりアーティスト個人の音楽的美学が求められた1年と言えるかもしれない。
(宮本)
ZAZEN BOYS 『ZAZEN BOYS III』 MATSURI STUDIO
ドラマー=松下敦の新加入によって、ダイナミックで重心の低いビートを装備。アレンジ面でも色っぽいシンセをフィーチャーするなど、トピックが満載。やはり2006年も信用できる男たちでした。なお、年間120本超えのライヴで、ここでの楽曲も急進化中。
(久保田)
SLY MONGOOSE 『TIP OF THE TONGUE STATE』 LOCARNO
スカ/レゲエやラテン、ファンクをベースにクラブ・シーンともリンクして話題を呼んでいたバンドが、満を持して待望のアルバムを発表。百戦錬磨の猛者たちが繰り出す、ワイルドでボーダレスなサウンドと強靭なグルーヴに新たな中毒者が続出した。
(ジョビン)
SOIL & "PIMP"SESSIONS 『PIMP OF THE YEAR』 ビクター
ジャズ・ファンクやフュージョンではなく、50~60年代のモダン・ジャズをそのままクラブに持ち込んだような王道感覚が逆に新しさを感じさせる。海外での高い評価を受け、本作で日本国内の知名度も大幅アップ。常に攻撃的な姿勢がいい。
(宮本)
SUEMITSU & THE SUEMITH 『"Man Here Plays Mean Piano" A New Edi-tion 4 Sony Music』 キューン
再リリースという形で鮮烈なメジャー・デビューを飾ったグラインド〈ピアノ〉マン。本作以降のシングルではメロディーセンスの良さだけに留まらない才能を披露。そして、それは幅広く聴かれることに。
(池田義)
EGO-WRAPPIN' 『ON THE ROCKS!』 Minor Swing/トイズファクトリー
結成10周年の年に登場した今作は、まさにこれまでの音楽活動の集大成的な内容。非常に冒険/実験的でありながら、独創的で優れた最新ポップたり得る、非常にイマジネイティヴで妖しい魅力を放つ、進化し続けるエゴ・サウンドの頂点。
(ジョビン)
STRUGGLE FOR PRIDE 『YOU BARK WE BITE』 TAD SOUND/tearbridge
2006年、新たなる価値観が本作をとおして提示された。轟音で描き出されたのは、大げさな希望でも独りよがりの絶望でもない、自分を取り囲む日常の風景。多彩なゲストやクラブ・カルチャーとのリンクは、仲間意識の延長にあるもの。
(池田義)
OVERGROUND ACOUSTIC UNDER-GROUND 『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』 tactics/トイズファクトリー
才気溢れるアメリカ人シンガーとBRAHMANによる新ユニット。トラッドやカントリーなどを取り込んだノスタルジックな味わいは、新時代のミクスチャー音楽の道しるべとして注目される。
(宮本)
吾妻光良 & The Swinging Boppers 『Seven & Bi-decade』 ビクター
後進ミュージシャンからの多大なるリスペクトや新たな若きファンが激増するなか、待ち望まれていた4年ぶりのアルバム。最高のエンターテイナーにしてもっとも楽しくスウィングする、最強のオヤジ・バンドの愉快痛快っぷりは格別。
(ジョビン)
クレイジーケンバンド 『GALAXY』 サブスタンス
視界良好、もはや敵なしといった最強のエンターテイナーが贈る、大人の余裕と遊び心がいっぱい詰まった、やりたい放題の特大ポップ・アルバム。絶好調が続くバンドの顔であるケンさんはTVCMに登場するなど、ポップ・アイコンとしての活躍も見せた。
(ジョビン)
勝手にしやがれ 『ブラック・マジック・ブードゥー・カフェ』 エピック
ジャズとパンクを融合させた独自のバンド・サウンドと、伊達で粋な男の物語を聴かせる独特の歌詞世界で人気者となった彼ら。ポップでしなやかでカラフルな今作で硬派なイメージから一歩踏み出し、唯一無二な大物感も醸し出すことに。
(ジョビン)