J-MAINSTREAM
ヴェテランから新人まで躍動した1年
聴き手を選ばないキャッチーで親しみやすいポップさを〈メインストリーム〉の条件とするならば、その定義がより広がったと感じられた2006年。ザ・クロマニヨンズなどのヴェテラン勢の我が道の行き方と、アジカンやストレイテナーらのキャリアを重ねたバンドたちの意欲的な進化、そしてRADWIMPSをはじめとする20歳そこそこという新世代の感性――重層的なシーンの厚みが、現在の日本のメインストリームの豊潤さと言えるだろう。
(宮本)
東京事変 『大人』 東芝EMI
のびのびとバンド感を楽しんでいた〈骨っぽい〉ファーストからすれば、本作はジャケットからしてかなりゴージャス感を増した〈色っぽい〉サウンドだったといえましょう。ステージでの芸術的な演出効果も含め、できることはかなりやり尽くした感もあり。2007年はふたたび〈林檎〉に。
(久保田)
木村カエラ 『Circle』 コロムビア
アイゴン、民生、シノッピという個性派による先行シングルも強烈でしたが、セカンド・アルバムとなる本作での顔ぶれも……いやはや。汗臭さゼロ、しかし並ならぬパワフルさでもって、そのポテンシャルを一気に開花。こりゃあ、トノヴァンもホレるはず!
(久保田)
ストレイテナー 『Dear Deadman』 東芝EMI
良質なメロディーとヘヴィーだがポップなサウンドが売りだった彼らが、欧米ディスコ・パンク~ニューウェイヴ・リヴァイヴァルの盛り上がりに呼応して、ダンサブルなスタイルに変貌。明るさを増したよりキャッチーで踊れるサウンドを確立し、ファン層も大きく広がった。
(宮本)
RADWIMPS 『RADWIMPS 3 ~無人島に持っていき忘れた1枚~』 東芝EMI
まさに次世代の日本のロック・シーンを背負って立つ若き怪物。2006年はアルバム2枚リリースという驚異のペースだったが、最初の1枚となるこちらはより青春度が強く、ぶっ飛んだ言語感覚とジャンルレスのミクスチャーっぷりが瑞々しい傑作。
(宮本)
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『ファンクラブ』 キューン
いまや完全にトップランナーとなったアジカンが、UKロックや日本のオルタナティヴの影響から抜け出して独自のロックを確立した作品。主催イヴェント〈NANO-MUGEN FES.〉を大成功に導くなど、シーンをリードする責任を負った活動姿勢も素晴らしかった。
(宮本)
レミオロメン 『HORIZON』 スピードスター
インディー時代から大器として期待された彼らが2006年についに大ブレイク。切なく叙情的なメロディーと歌詞の絶対的な良さをベースに、ダンス・ビートを含む多彩なサウンドに挑戦したJロックの新基準がこれ。地元・山梨での飛行場ライヴなど攻めの姿勢を貫いたのも好感度大。
(宮本)
locofrank 『The First Chapter』 773 Four/キング
メロディック・シーンではすでに評価が確立されているが、2006年はさらに幅広い層へのアピールに成功して次なるステージへと進化中。音源も良いがとにかくライヴ命のバンドなので、本作が気に入ったら迷わずライヴのチケットをゲットすべし。爽快感120%!
(宮本)
YUKI 『Wave』 エピック
前作『JOY』でもナイス・サポートをしていた蔦谷好位置による強力シングル5作を経ての通算4枚目。シングルではメロディアスでありながらハツラツとした楽曲が目立っていたけれど、アルバム収録曲はぐっとリラックス・モード。産休期間を埋められるだけの賞味期限は楽勝でクリアです。
(久保田)
ザ・クロマニヨンズ 『ザ・クロマニヨンズ』BMG JAPAN
ザ・ハイロウズの休止に悲しむヒマもなく、ヒロトとマーシーの黄金コンビは続くよどこまでも。この新バンドでは、良い意味で何の変化もないプリミティヴなロックンロールの連打また連打で、笑えて泣けてカッコいいスタイルは永久不滅。これでいいのだ。
(宮本)
ELLEGARDEN 『ELEVEN FIRE CRACKERS』 Dynamord
ここ数年停滞気味に見えたメロディック・パンクのシーンを活性化させた主役といえばやはり彼ら。常にファンの側に立ったキャッチーでわかりやすいメロディーとサウンドにこだわり、ポップス・ファンを大量に惹き付けた功績も大。貫禄すら漂う充実盤だ。
(宮本)