ELECTRONICA
ここにも90年代リヴァイヴァルの影?
どうとでも解釈可能なエレクトロニカという言葉の適用範囲が、かつてのインテリジェント・テクノやIDMの流れを汲むものからどんどんエクスペリメンタル志向の強いものへとスライドしていった結果、その呼称自体が時にはマイナス・イメージを孕むものになってしまった感は否めないが、2006年は焦点の絞れたインテリジェンス漂うリスニング作品が目立っていた。今後はジミー・エドガーのような初期テクノ風味に呼応した連中によって揺り戻しが来るのかも?
(轟)
JIMMY EDGAR 『Color Strip』 Warp
テクノ~エレクトロニカの老舗=ワープから登場した若きエレクトロニカ貴公子は、アンニュイかつファッショナブル、だけどデトロイト・テクノ+オールド・スクール・ヒップホップなレトロ・フューチャーっぷりで、デリック・メイも認める実力派なクール・ガイ(?)でした。
(石田)
NATHAN FAKE 『Drowning In A Sea Of Love』 Border Community
ホールデン総帥によるリミックスによって各界を総ナメしたキラー・チューン“The Sky Was Pink”で大注目だったプログレ・ハウスの維新軍=ボーダー・コミュニティの若大将。空間を歪ませるエレクトロニック・サイケ・シューゲイザーの頂点!
(石田)
AFX 『Chosen Lords』 Rephlex
待ってる間は冷たいのに、離れようとすると優しい……泥沼恋愛のような動きを見せるリチャードD・ジェイムズ。誰も期待していないのを見計らって(?)突如リリースされた12インチ群をまとめた5年ぶりの新作……というにはあまりに自然体で、凶暴かつリリカルな唯我独尊エレクトロニカ!
(石田)
MATOMOS 『The Rose Has Teeth In The Mouth Of A Beast』 Matador
名前とは正反対なイカレっぷりでこそ平常なマトモス。今作もビョークに朗読させたりする一方、牛の消化器官の音(どんなんだ!)など一生聴かなくて済む音を材料に、異端のアーティスト10人に捧げる極北ぶりでもう変態……じゃなくて大変!
(石田)
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