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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年12月28日 11:00

更新: 2006年12月29日 00:22

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/出嶌 孝次、高橋 荒太郎、池谷 昌之、卯之田 吉晴

さらに進んだ多様化とリリース激化

USのシーンに限定して言えば、カントリーに比肩するメインストリームの音楽となったヒップホップ。ザッと見ると顔ぶれがどんどん新しくなるサウス勢に比べ、NYやLAはヴェテランが底力を見せた印象。ベイエリアの新種サウンドとしてハイフィーが話題になったりもしたが、もはやある一定の音が固有のエリアを代表できる時代ではなく、個々のアーティストがそれぞれの方法論を追求していた感が強い。その結果……リリース量はとにかくメチャクチャなことに!
(出嶌)

CHAMILLIONAIRE 『The Sound Of Revenge』 Chamillitary/Universal 
ヒューストンから全米へその名を知らしめたソロ・デビュー作。多様なトラックとそれに対応した柔軟なラップが楽しめる大充実の内容で、シングル“Ridin'”のNo.1ヒットやアルバムのダブル・プラチナ・セールスも質の高さを証明した。
(高橋)

DEM FRANCHIZE BOYZ 『On Top Of Our Game』 So So Def/Virgin 
ジャーメイン・デュプリの後ろ盾を得てアトランタから放たれたこの盤が、2006年の南部を席巻した新ムーヴメント=スナップスの名を広めた。クランクとは一味違う、音数の少ない独特のエレクトロ・バウンスに中毒者が続出しました。
(池谷)

JUVENILE 『Reality Check』 UTP/Atlantic 
ハリケーン被災を乗り越えての力作。かつての煙たいフロウ一辺倒ではなく、落ち着いた語り口も交えたラップには一人立ちした男の自信と余裕さえ感じられる。全米各地の大物を多数招きながらも、泥臭いビートを自在に乗りこなした主役の存在感はやはり圧倒的だった。
(高橋)

E-40 『My Ghetto Report Card』 Sick Wid' It/BME/Reprise 
ベイエリア発のムーヴメント=ハイフィーを世に広く認知させた重要作品。同地の顔役である彼が前面に出たことによって、久々にベイエリア自体への注目を集めることにも成功した。トラック/ラップ共にその破壊力と完成度の高さが尋常じゃなかった傑作だ。
(高橋)

T.I. 『King』 Grand Hustle/Atlantic 
もう〈南部〉とか〈西海岸〉とかいうフィルターをとおしてメジャーのヒップホップを取捨選択していい時代じゃないということを今作で実感した人も多いはず。ゲタを履かされがちなNY勢と比べるのもT.I.に失礼ですが、DMXやジェイ・Zと同じような視点から評価されるべき水準の傑作です。
(高橋)

GNARLS BARKLEY 『St. Elsewhere』 Warner UK 
2006年いちばんの衝撃作!? 音楽業界の問題児=デンジャー・マウスとヒップホップ界の異端MC=シー・ローによるプロジェクトで、既存のフォーマットをあきらかに逸脱したようなユニークかつポップなサウンドは、むしろヒップホップ・ファン以外に大ウケした。
(卯之田)

AK'SENT 『International』 Capitol 
キャッチーな〈ジンジギザンジ~♪〉でお馴染みの人気曲“Zingy”の勢いは、今作を日本だけで10万枚以上のセールスとなる大ヒットに導いた。18歳の女子ラッパーという話題性に加え、そのイキの良さとスキルの高さは、一時の成功に終わらないポテンシャルを秘めている。
(池谷)

BUSTA RHYMES 『The Big Bang』 Flipmode/Aftermath/Interscope 
これまで以上に超豪華な布陣による通算8作目。注目は何と言ってもドクター・ドレーとの共演に尽きる。あの『2001』を彷彿とさせるミラクルなグルーヴが炸裂したサウンドは、ドレー信者にとって2006年最高の贈り物だったに違いない。
(卯之田)

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