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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年11月30日 11:00

更新: 2006年11月30日 23:02

ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)

文/高橋 荒太郎

ウェストコーストの誇りを賭けて、ゲームの新章が幕を開けた


  「このアルバムにはコンセプトなんてないんだ。オレはある特定のタイプのアルバムを作ろうとは思ってなかったからな。何をやらなきゃいけねえのかってことだけ把握していたんだ。それはアルバムを完成するってことだけで、まずはジャスト・ブレイズと制作を始めて、ナズと1曲やって、そこからは自分の耳とマインドを頼りに、アルバムを完成するのに他に何が必要か探っていったんだ。最初は〈ソフォモア・ジンクス〉ってことでプレッシャーを少し感じたりもしたけど、最初のトラックのレコーディングを終えた後は、自信を持って他のトラックのレコーディングに臨めたよ」。

 リリース前から異常なまでの盛り上がりを見せていたニュー・アルバム『Doctor's Advocate』について、ゲームはこう軽く答える。コンセプトがないのだから当然といえば当然だが、前作『The Documentary』との差別化という点に関しても「ニュー・アルバムはファースト・アルバムじゃないからな。前作と違ったアルバムを作ろうとすればするほど、結局は前のと同じようなアルバムを作っちまったりするし。オレはただオレのやりたい音楽を作りたいだけだったんだ」と返してくるあたり、意識することはまったくなかったようだ。

他に何をレペゼンしろってんだ?

 それでは、ゲームがやりたいこと、作りたいアルバムとは、いったいどういうものだったのか。それはやはり、前作からも強く感じられたウェストコーストのプライドを掲げてウェストコーストをレプリゼントするということではないだろうか。

 これまでも多くのアーティストがウェストコーストをレプリゼントしてきたが、その多くはローカル・シーンに留まり、全米規模で注目を集めるほどの存在になることはなかった。カリフォルニアのコンプトンで育ったゲームは、ブラッズのメンバーとしてドラッグ・ディーリングにも手を染め、5発の銃弾を浴びるギャングスタ・ライフを歩んできた。同じような道を辿ってきたアーティストも多くいたが、ゲームほど西の偉大なアーティストたちに敬意を払い、誇りを持ち、そのアティテュードを忠実に受け継いできたラッパーはいないだろう。

「オレはウェストコーストをレップしなきゃならないんだよ。他に何をレペゼンしろってんだ? オレは生まれも育ちもコンプトンだからな。今回のアルバムは前回よりもウェストコースト感があると思うよ。前作ではオレがラップできるってことを全世界に向けて証明しなければならなかったんだ。世界に通用するように、典型的なウェストコースト風にはできなかったのさ。というのも、〈西海岸のMCはラップができないし、リリカルじゃない〉って思ってる連中がたくさんいたからな。そんな評判を覆すためにも、〈そんなこと全部こなせるぜ!〉って証明してやったのが前作だ。今回のアルバムでは、オレが四六時中ウェストコーストだってことを打ち出している。ウェストコーストに関する何かをスヌープがやるってんならオレも即サポートするし、もし彼がシーンから退くっていう日が来たら、すぐさまその跡を継ぐつもりだ。そして次にウェスト出身の奴が出てきてミリオン・ヒットを飛ばすぐらい有名になったりしたら、オレはそいつにバトンを渡すつもりだぜ。そうやってウェストコーストを絶対に終わりのないサイクルにしていくんだ」。
▼『Doctor's Adovocate』に参加したアーティストの作品を一部紹介

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