R&Bの世界に浸るためのコラム三題(2)
多角的にブラックネスを追求するユーロ産R&B
ユーロ圏、ことにUK産のR&Bはポップ・フォーマットのなかで独特のバランスを取った作品が多いのだが、ジャメリアのニュー・アルバム『Walk With Me』もまた、その例に漏れない仕上がりとなった。ジャマイカ系らしくダンスホール・レゲエとの親和性をベースに濃厚なスタイルを聴かせた過去作とは一転、今回はストラングラーズやデペッシュ・モードのサンプリングを活かしてロック色を強めた内容なのだ。が、アフリカ・バンバータをフィーチャーした東洋味のエレクトロ曲“Do Me Right”(ややケリス風?)をはじめ、ソウルショック&カーリンらが参加した聴き逃せない楽曲もあるので要注意。
また、同作にも関わるエッグが腕を振るったのが、オーディション番組〈X Factor〉出身の新人、マリア・ローソンのファースト・アルバム『Maria Lawson』だ。ジェイムス・ブラント“You're Beautiful”のカヴァーなどではオーディション出身者らしい折り目正しい歌唱だが、シャイ・ライツ“Have You Seen Her”を引用した“Sleepwalking”などは一聴の価値アリ。一方、以前からUS産R&Bへの憧れが強いドイツでは、ジョイ・デナラーニが新作『Born & Raised』でグッとネオ・フィリー色を強めてきたことも強調しておきたい。*狛犬
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
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