古今東西の粋な伊達男たちによる男ディスクガイド(2)
ドナルド・フェイゲン
82年のリリース当時、勝負アイテムとして多くのシティー・ボーイたちがカーステにセッティングしていたであろう『Nightfly』(Warner Bros.)。アーバンで洗練されたサウンドはもちろん、ジャケットの雰囲気がかなり粋。この人、本当はものすごく神経質なミュージシャンなんですけどね。(久保田)
寺尾 聡
“ルビーの指環”をはじめとする大ヒット曲を収め、81年にリリースされたジャパニーズAORの金字塔『Reflec-tions』(東芝EMI)に映し出されているのは、キザで不器用な男の恋愛風景。当時レギュラー出演していたTVドラマ「西部警察」での殉職シーンも、このうえなくキザだった。(久保田)
舘ひろし
クールスの初代総長、セクシーダイナマイツ、ダンディー鷹山、刑事貴族……この男は芯がブレない。名曲“貴方と...”を含む最新ベスト盤の『TACHI THE BEST COLLECTION』(BMG JAPAN)も、歌は艶(とエコー)でカヴァーだろ?と言わんばかりの余裕で女たちを惑わす。カルタス。(出嶌)
BOOWY
男子三日会わざれば――ヤンキーの〈暴威〉どもが粋な大人になって、潔い別れを選ぶまで、男の成長の何たるかを表現し続けた彼ら。なかでも85年の『BEAT EMOTION』(東芝EMI)は、モット・ザ・フープルなど引用ネタの男らしさにも注目したい名作だ。前髪を立てるだけじゃ真似できないぜ!(出嶌)
ジョン・ルーリー
飄々としながらも粋な演技で強烈なインパクトを与えたラウンジ・リザーズのジョン・ルーリーは、自身が手掛けた「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(Enigma/Crammed)のサントラのほうでもストレンジでトボけたサウンドを披露。スーツがもっとも似合うクールなニューヨーカー。(ジョビン)
カエターノ・ヴェローゾ
『Fina Estampa』(Philips)の邦題でもある〈粋な男〉を完璧に演じきれるところがまさに伊達。難解で哲学的な歌詞や中性的で艶かしい歌声、音楽に貪欲なために移り気で音楽性をコロコロ変えたり……って、このブラジルのカリスマにもっとも近しい存在はデヴィッド・ボウイかも。(ジョビン)
アンリ・サルヴァドール
ジャズ、ブルース、ボサノヴァ、シャンソン、ロックンロールをこなすフランスの国民的エンターテイナーにして音楽界の至宝。スウィートで洒落てて明るくてエレガントな『Chambre Avec Vue』(EMI France)はいつも、女にモテる方法をそっと耳打ちしてくれるのだ。人生の達人、男の鏡。(桑原)
田島貴男(オリジナル・ラヴ)
オリジナル・ラヴの名が一般的に広まりだしたころは、オシャレな優男的イメージもあった方ですが、ここ数年は男気やら野性味やらが作品はもとよりルックスにも表れているようで。2003年作『踊る太陽』(ポニーキャニオン)のような大味なジャケは、ひと昔前だと考えられなかったなあ。(久保田)
フランキー・J
情熱的でロマンティックでジェントルなラテン系といえば色男というイメージがあるが、現在の象徴的な存在といえばチカーノR&Bシンガーの彼か。伊達な出で立ちに、『The One』(Co-lumbia)でも聴ける、メロウなトラックの上で男も女も濡らすスウィートな歌声がたまらない。(ジョビン)
渡辺俊美(THE ZOOT 16)
折り目正しいその佇まいとキリッとした表情の下には、情熱と反抗心が。ファッション・ブランドやショップの経営など、己の好きな物を極めるといった彼の生き方は粋そのもの。『RIGHT OUT!』(ZOOT SUNRISE SOUNDS)などで聴ける、匂い立つ男の哀愁と色っぽさに、シビれる。(ジョビン)
ジャン・ポール・ベルモンド
「勝手にしやがれ」(アミューズ)をはじめ、アクションでもヌーヴェル・ヴァーグでもコメディーでも、粋な風情を醸しながら銀幕上を軽やかに駆け抜ける彼は、ロック(ゴーゴー)とジャズの両方が似合うキャラ。ライヴァルのアラン・ドロンと比べるとどっちが伊達男? 勝手に決めやがれ。(桑原)
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