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特集

クレイジーケンバンド

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年10月12日 12:00

更新: 2006年10月12日 21:31

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/久保田 泰平

進化しすぎて幼児返りした大人の男の歌を聴け!!


〈伊達〉――人目を引く派手な服装や振る舞いをすること。見えを張ること。好みが洒落ていること。考え方がさばけていること……そして、〈伊達〉ときて真っ先に思い起こすミュージシャンといえば、そう、クレイジーケンバンドの横山剣だ。

「だいたい拡大解釈されてますけどね、ただの音楽屋なのに(笑)。どういうとこで遊んでるんですか?とか、ファッションのこだわりは?とかってよく訊かれるんですけど、それはオマケみたいなもんで。歌に出てくるような生活を実際にしていたら死んでしまいますから(笑)」。

 見た目には並ならぬ気配りをしているけれど、それはあくまでもオマケ。ミュージシャンたるものが〈伊達〉と呼ばれるからには、当然ながらそれ以上に圧倒的な音楽をクリエイトできるかが肝心だ。その点、クレイジーケンバンドの音楽は、グルーヴ、メロディー、色香、ユーモア、洒落っ気、賞味期限などすべてにおいてハイ・ポテンシャル。そんなCKBのチャームがぎっしり詰まったニュー・アルバムが今年も到着した。

「本当は6月ぐらいに出すつもりだったんですけど、レコーディングしてるうちにアイデアが止まんなくなって。とにかくここ何作か、グループの自由度が増してからというもの、ああいうこともこういうこともできるって止まんなくなるわけですよ。最初の3枚ぐらいは、こういう曲出来たんだけど、この編成だったらここまでかなとか、妥協もあったんですよ。でも、楽曲はバンドによってスポイルされる、楽曲をバンドに寄せるんじゃなくて、バンドが寄っていかないとっていうことで、2001年ぐらいからバンド内で革命を起こしたんですよね。あくまでもファースト・プライオリティーは楽曲。楽曲がいちばんエラい。自分も含めてメンバーはその下。そういう感覚がだんだんうまく軌道に乗りはじめたのが去年あたりかなあって。まあ、時間がかかりすぎたかもしれないけど、それに到達するまで途中でやめなくてよかったなって思ってますよ」。

 ニュー・アルバムの名は『GALAXY』。〈オレと結婚しろ!〉とパワー・ハラスメントすれすれの口説き文句をメロウなトラックに乗せた先行シングル“メリメリ”をはじめ、FIRE BALLとPAPA Bをフィーチャーして〈世界はおれを待ってる〉と大きく出た“ハマのアンバサダー”、「造形だけでは勃起しない」と語る剣さんが〈なんだかんだ言っても女は心〉と説得力あるフレーズを歌う“AMANOGAWA”、ラッパ我リヤのQをフィーチャーしたゴリゴリのファンク・チューン“アイワナゲチョラ”などなど、男・横山剣の野性的サイドにフォーカスした印象をそこかしこから感じさせるアルバムだ。

「そうですね。それは狙ったところありますね。もっと野蛮化したいというか、あれこれ考えすぎるのをやめようと。まあ考えようにも、もともと頭は良くないんですけど(笑)。考えるかわりに動物的な勘というかね、それを上げようと思ったんですよ。そうすればウソのない、スピリチュアルなものが出てくるんじゃないかって。動物的な勘を頼りにすると、かっこいいとか悪いとかって言ってる場合じゃないというか。楽曲もスマートに構成するばかりじゃなくて、どんどん展開していってもいいじゃないかとか、誰が何人入ったっていいんじゃないか、鳴ったんだからしょうがないじゃないかってわりと正直に作ったんですよね。レコーディングしてみて音と音が喧嘩していることもあるんですけど、でも、プロセスにおいては音がいっぱいガシャガシャ鳴ってるほうが興奮するというか、グルーヴを出しやすいんですよ。リズムにしても少々走ろうがモタろうが関係ない。これってもともとやりたかったことなんですけど、そこにちょっと照れがあったというか、自制心が働いちゃっててね。でもいまはそれをフォローできる気持ちになれたんですよ。アルバム・タイトルもお馬鹿な感じというかね、大味。大味なんだけど、なんていうか、大味にも質感があるっていうことに年取ってわかったところもあって」。

 アルバム後半では“ドクロ町ツイスト”“プレイボーイ・ツイスト”と続けざまにお得意のツイスト・ナンバーを奮発したり、“ミニスカハコスカヨコハマヨコスカ”では陽気なゴーゴーを踊ったりと、CKBの原点とも言える陽気でイカしたダンス・ナンバーも交えながら、野性的で元気ハツラツな様子をそのサウンドから大いに窺わせてくれるCKB。

「そもそも、もっと野蛮化したいっていうコンセプトは、スポーツ新聞に載っていた〈生涯絶倫〉みたいなポーズで写ってるオヤジの写真を見て〈46なんてオレはまだ青臭いな〉と、すごく勇気をもらったのがヒントになってるんですよ(笑)。海外には60過ぎてもギンギンな人っていっぱいいるし……あっちのほうだけじゃなくて、音楽のほうでもね。どんどんヴォリュームがデカくなって、サウンドもわがままになっていくみたいな。そういうことを考えると、自分はまだチンピラでいられる歳頃なんだなって、ますますやる気がでちゃったわけなんですよね」。

 そう、〈伊達〉という言葉の意味を辞書で引いて、いちばん最初に出てくるのは〈意気や侠気をひけらかすこと〉。CKB、そして横山剣。まさに!……です。

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