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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年10月05日 12:00

更新: 2006年10月05日 21:51

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

BAY AREA
ハイフィー・ムーヴメントにあやかってか、ベイエリアでは非ハイフィー勢の盛り上がりも凄まじい。ウェスト・コースト・マフィアを率いる10年選手のC-Boは全国区対応のハイブリッドな新作『Money To Burn』をリリースしたばかりだし、故マック・ドレーの遺志を受け継ぐシズ・ネイションも膨大な作品数で群を抜く活躍ぶり。また、力作『Hustler.n.a.i.r.e.』をリリースしたばかりのメッシー・マーヴが早くもメスカリン名義の新作『Gettin' That Guac』をドロップしてくるなど、古株から新鋭まで、各々が刺激し合いながら新たなる上昇期を迎えているようだ。
(出嶌)


メスカリンの2006年作『Gettin' That Guac』(Frisco Street Show/Sumo)

DALLAS
同じテキサス州のヒューストンに継ぐ注目都市こそダラスだ。なかでも、同地の有力者であるG-Loことジョージ・ロペス率いるレーベル=T・タウンは、古くからヒューストンとの強い絆を築いてシーンを活性化させてきた。そこに所属するクルーのDSR(ダーティー・サウス・ライダーズ)からはビッグ・タック、タム・タムが相次いでメジャー契約。他にもリル・ロニーやファットBらのタレントを多く擁して、同地を牽引。さらには、カミリオネア“Ridin'”の大ヒットで早々と復活したプレイン・スキルズがワーナーと契約したり、E・クラスがスウィシャ・ハウス入りしたり……と、オーヴァー/アンダーグラウンドを問わず活気に満ち溢れている土地なのだ。同地で活躍する日本人DJ、DJプリンセス・カットの動向からも目が離せない。
(Masso)

DIPSET
南部~中西部の勢いに押されがちなNYで気を吐く数少ない……というか、Gユニットが同地代表ではなくなった現在、NYレペゼン最強のクルーとなったのがディップセットだ。ミックステープものも含めると膨大なリリース量となる彼らだが、リーダー格のキャムロンがワーナー傘下のアサイラムから、参謀のジム・ジョーンズと(パプースと並ぶNY期待の新鋭である)JR・ライターがコッチから相次いで新作をリリースしただけでなく、ヘル・レルやらパープル・シティやらドン・ビショップ・アガラーやらも次々とインディペンデントで作品をドロップしてきて休む暇ナシ。さらに日本では、サウンドだけでなくカラフルなそのファッションもヤングに大きな影響を与えている。
(Masso)


JR・ライターの2006年作『History In The Making』(Diplomatic Man/Koch)

Guess Who's Back?
バン・Bやビヨンセ、リック・ロスなどの楽曲でコンスタントにラップを披露してきたジェイ・Zが、「Entertainment Weekly」紙のインタヴューにてとうとうみずから復活アルバムのリリースを認めた! 2003年末の『The Black Album』で感動的な引退劇を飾り、その後はデフ・ジャム社長として辣腕を振るってきたものの、間にはR・ケリーやリンキン・パークとの共演アルバムもリリースしていたわけで、誰も引退しているとは思っていなかったのだが……。それはともかく、『Kingdom Come』と名付けられた新作は、現時点で11月リリースの予定。プロデューサーにはドクター・ドレー、ティンバランド、カニエ・ウェスト、ジャスト・ブレイズという最強の布陣が用意されているらしいぞ!
(出嶌)

GRAND HUSTLE
来日公演で見せた手抜きナシの入魂ライヴで日本におけるプロップスもさらに高まり、名実共に〈King〉の称号を欲しいままにしているT.I.のレーベル。過去にはT.I.率いるPSCでのアルバムもリリース済みだが、今年下半期最大の目玉はヤング・ドローと、シンガーのガヴァナーだろう。前者はすでに“Shoulder Lean”がラップ/R&Bの両シングル・チャートで1位を獲得する大ヒットとなり、ファースト・アルバム『Best Thang Smokin'』も全米初登場3位と好調な滑り出し! 後者はオールド・ソウルを継承したような本格派シンガーで、ソウル・ファンも思わず唸るであろう『Son Of Pain』は、今年のR&B作品のなかでも大穴級の傑作として話題必至!
(高橋)

HYPHY
本誌では一度大きく紹介しているが、ベイエリアが生んだダンス・オリエンテッドな発散サウンド=ハイフィーはますます勢力を拡大している。次頁で掲載しているDJシャドウのインタヴューに登場する面々が主だった連中ではあるものの、USの専門誌でもようやく紹介されるという段階に至って、フェデレーションがメジャーと再契約したり、キーク・ダ・スニークの客演が急増するなど、追い風は吹きまくっている。E-40が主宰するシック・ウィド・イットからは後発アクトのDB'zも登場してきているし、まだまだこの人気は続きそうだ。それにしても待ち遠しいのはターフ・トークのニュー・アルバムである。
(出嶌)


DB'zの2006年作『Speakin' In Mannish』(Sick Wid' It/30/30)

JONATHAN "J.R." ROTEM
昨年から大活躍のプロデューサーだが、今年に入って活躍の舞台を拡げている様子なのでいまのうちに紹介しておこう。古くはデスチャなどにも関わってきた(恐らく)鍵盤主体のトラックメイカーである彼が脚光を浴びたのは、50セントのソウルフルな“So Amazing”(2005年)あたりから。そのままトニー・イエイヨやモブ・ディープも手掛けるなど、Gユニット御用達のひとりに成長。エボニー・アイズやリル・キム、アクセントなど女性MC仕事が多いのも特徴か。リアーナ“SOS”の大ヒットに続いてパリス・ヒルトンも手掛ける一方、リック・ロスやオービー・トライスなどストリート寄りの仕事もこなす器用さもあり、このまま独自色を強めていけばスコット・ストーチばりに大化けしそうだ。
(出嶌)

MEMPHIS
ここにきて熱い視線が注がれるようになったメンフィスではあるが、もはやそれはスリー6マフィア景気に止まらない。ヨー・ゴッティやナスティ・ナードら俊英が全国区対応の作風に移行し、重鎮の8ボール&MJGも奮闘中だ。さらにマフィア一家からは、お務めを終えたプロジェクト・パット3年ぶりの新作……とこの秋には大玉が連発されそうだ!
(出嶌)

PAPOOSE
猫も杓子もパプーパプー……と、NYシーンの切り札的存在として期待を一身に背負う注目MCがパプースだ。すでにアンダーグラウンドでは10年以上のキャリアを誇り、ここ数年で新たなミックステープ・キングとして名ヴァースを残し、そのスジでは知られていた名前を一気に広めたのがバスタ・ライムズ“Touch It(Remix)”への参加。メジャー・アクトに混じって唯一のアンサインドMCとして強烈なインパクトを残したが、その繋がりからかフリップモード・スクワッド入りしたとの説もある。また、バスタ&スウィズ・ビーツと組んで今夏のNYCハイプ“Get Right”をドロップし、ついにジャイヴと契約!という噂もアリ。今年下半期最大の台風の目となりそうな予感。
(Masso)

TOO SHORT
重鎮、重鎮、と持てはやされることはあるものの、日本では一向にブレイクの気配がなかったベイエリアの重鎮、トゥー・ショートだが、いよいよ今回はクルでしょ!? 現在のハイフィー・ムーヴメントの影の功労者とも言える御大だけにタイミング的にもバッチリ追い風で、リル・ジョンと合体したクランク・ファンクな先行カット“Blow The Whistle”に、すでにエアプレイされまくりなスヌープ・ドッグ&ウィル・アイ・アムとの“Keep Bouncin'(Street)”と、リリース前の煽りも完璧! 西&南を代表するピンプ共演となったピンプCとの“Money Maker”、そしてE-40とのライトなハイフィー・チューン“I Want Your Girl”など話題曲を多々収録し、期待を余裕で超えるハイ・クォリティーに仕上がっているぞ!
(Masso)

WU-TANG CLAN
昨今のリスナーからしたら昔のグループ扱い?かもしれないが……ここにきて個々の動きが賑やかになってきた。まず、デフ・ジャムからゴーストフェイス・キラーとメソッド・マンが気合いの入った力作を相次いで放ち、マスター・キラーも上々のソロ作を出したばかり。広くファミリーに目を移せば、クランのDJだったマセマティクスや、サンズ・オブ・マンらも注目すべき作品をリリースしている。レイクォンの新作、さらにはオール・ダーティ・バスタードの遺作もそろそろ?
(出嶌)

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