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特集

耳で聴いたピープル・トゥリー

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2006年09月21日 12:00

更新: 2006年09月21日 20:11

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/北爪 啓之、達磨 剣、出嶌 孝次

ジョニー・キャッシュをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

BOB DYLAN
『Nashville Skyline』
 Columbia(1969)

  本作収録の“Girl From The North Country”にてデュエットしたのを皮切りに、ディランのデビュー30周年コンサートにキャッシュが登場、2002年のキャッシュ・トリビュート盤『Kindred Spirits』にディランが参加……と長年に渡ってお互いを敬愛してきた両者。巨人同士の絆は力強く美しい。(北爪)

RAY CHARLES
『The Genius Hits The Road』
 ABC-Paramount/Rhino(1960)

  偏見なくカントリーに挑んでブレイクしたレイ、リズム&ブルースも取り上げたキャッシュは、カテゴリーを超えて並び称されるべき巨人だ。近年のハリウッドで2人がバック・トゥ・バックを展開したことは本人たちも知らないことだが、『Ride This Train』と同時期にこんな旅情アルバムが残っているのは……偶然?(出嶌)

BRUCE SPRINGSTEEN
『Nebraska』
 Columbia(1982)

  別掲のキャッシュ・トリビュート盤『Kindred Spirits』にも参加している他、ことあるごとにその影響を公言してきたボス。常にハミ出し者たちが集まるストリートを見つめ、愛と苦悩を歌ってきた2人は、アメリカを代表するシンガーにして、故郷~祖国にアンビヴァレントな思いを抱き続けてきた点もまた……。(達磨)

JOE STRUMMER & THE MESCALEROS
『Streetcore』
 Hellcat/Epitaph(2003)

  髪型や眼差しが……というよりも、キャッシュのベスト盤『Unearthed』にも収録された共演曲“Redemption Song”(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのカヴァー)。ジョーの念願だったこの共演だが、〈魂の交歓〉とでもいったやり取りの素晴らしさといったら……2人にとって〈救済の歌〉とは何だったのだろう?(達磨)

ROSANNE CASH
『Black Cadillac』
 Capitol(2005)

  キャッシュと最初の妻の間に生まれた長女のロザンヌ。両親の離婚後は母親と暮らしつつ、父のツアーにたびたび同行していた彼女のデビューは72年。今作は亡き父とジューンに捧げたもので、父以上にロック勢との親和性を示してきた音楽性はここでも健在。なお、彼女が生まれたのは放蕩親父がデビューした年だ。(出嶌)

RYAN ADAMS
『Gold』
 Lost Highway(2001)

  覗き見るのも憚られるほどの孤独と傷を歌声の奥に抱えたシンガーとして、キャッシュと彼がカブってくる瞬間が多々ある。ロスト・ハイウェイから登場した今作は、グンとロックンローラー風情を増した作品ながら、その口の隅っこにはニヒルな微笑みが浮かんでいるようにも思える。彼もまたパンキッシュな問題児だ。(達磨)

EMINEM
『The Marshall Mathers LP』
 Aftermath/Interscope(2000)

  プア・ホワイトの鬱屈や苦悩を病んだ視点から物語化し、エンターテイメントに昇華させてきたエミネム。音楽性はまったく異なるが、彼の眼に映るアメリカはキャッシュが見据えてきたそれと重なる部分が大きいはずだ。ていうか、キャッシュがもう少しだけ長生きしてたら、きっと“Stan”を歌ったんじゃないか。(出嶌)

U2
『Zooropa』
 Island(1993)

  南部探求を続けてきた彼らは、本作のトリを飾る“The Wanderer”にキャッシュを招待。ゲストながらリード・ヴォーカルであの朗々たるバリトン声を披露しているんだから、初めて聴いたときはおったまげたもんだ。それに対してキャッシュも『American III : Solitary Man』にて彼らの名曲“One”をカヴァーしている。(北爪)

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