こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年09月14日 12:00

更新: 2006年09月15日 00:01

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/池城 美菜子

やはりキングは文句ナシにキングでした


「タイトルの『Undisputed』どおり、すべてをノックアウトするためのアルバムだ。ボクシングでもファースト・ラウンドとセカンド・ラウンドはがむしゃらにパンチを繰り出して、反撃されてもとにかくまた立ち向かっていくしかない。ファイナル・ラウンドは、最後の一撃を決めるまでだ。これはそういうアルバムなんだ」。

 以上、〈キング・オブ・ダンスホール〉ビーニ・マンによる勝利宣言だ。〈Undisputed〉は〈異議なし〉〈明白な〉という意味で、意訳をすると〈誰がキングか教えてやるよ〉となる。ジャネット・ジャクソンと組んでダンスホールのネクスト・レヴェルを示した『Tropical Storm』(2002年)、ストレートなレゲエで勝負した『Back to Basics』(2004年)を経たニュー・アルバム『Undisputed』は、88年のクラシックであるコンロイ・スミスの同名曲を下敷きにした“Dangerous”から、90年代のフロウを採用した“Set You Free”、ヴォルティオを招いたレゲトン・ナンバー“Fire”、いまをときめくスコット・ストーチがジャマイカン・フレイヴァーに挑んだ“Dutty Wine Gal”や“Jamaican Ting”まである、威風堂々たる内容。当人が「14曲が全部似たようなスタイルだったり、コンセプトだったりするわけにはいかないだろ」と言い切るとおり、チャンプの模範演技とも言える多芸なマイク技を次々と繰り出し、徹頭徹尾踊らせる。宿敵バウンティ・キラーとの闘い、勢いづくシャム&デイヴ・ケリーとの小競り合い、古巣ショッキング・ヴァイブスの内紛など、火の粉も次々と降りかかっているが(つーか、自分で起こしている?)、キングは不敵にも笑みを絶やさない。そのエネルギー源は、ラヴ。「ウェディング・ベルを鳴らしてみる気になった」とのお茶目な報告どおり、ゴールイン間近のビーニ王は結局のところ超ハッピーなのだ。25年ものキャリアに裏打ちされたビーニのおめでた気分満載の作品だから、〈異議なし!〉となるワケ。完敗。あやかるしかない。
▼『Undisputed』に参加したアーティストの作品を紹介。

インタビュー