固い絆で結ばれた男たちの奏でるダンスホール!(2)
Ward21
個性派のクルーがひしめくダンスホール・シーンの中でも、ワード21はひときわ異彩を放っている。短い間隔でメンバー4人がマイクを回す息の合ったコンビネーション、抑揚が希薄で押韻が強調されたラップのようなDJフロウ、各曲のテーマに合わせたサーヴィス精神いっぱいの過度なパフォーマンス。デビュー当初から打ち出してきたそれらのスタイルは、サード・アルバム『King Of The World』でも終始貫かれている。ヒット・リディムを量産するトラックメイカーでもあるという強みが、時流を気にすることなく独自路線をひた走る原動力になっているのだろう。〈ダンスホールとヒップホップのフュージョン〉と言われる彼らの楽曲だが、ヒップホップ的な要素の導入が決して意識的なものではなく無意識の結果であるところがミソ。それが彼らの恩師、キング・ジャミーも認めた次世代ダンスホール・クリエイターとしての資質なのだ。自作のリディム〈Badda Badda〉に乗せた同名曲で世に衝撃を与えてから7年、ジャマイカの枠に収まりきらなかったのか、今作はUKのジャムダウンからリリースされた。彼らの歩みはわれわれの想像の一歩先を行っているようだ。(森 穂高)